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歯と口から健康な生活 群馬県が歯科口腔保健計画

 群馬県は、歯と口の健康づくりの方向性を示す「県歯科口腔(こうくう)保健推進計画」の原案をまとめた。障害者(児)や要介護者ら対応が難しい人の実態調査を進め、適切な歯科検診や医療につなげるほか、生活習慣の乱れで口腔機能が低下しやすい成人への対策も強化する。期間は新年度から2018年度までの5年間。全国で対策が進む中、本年度から「県歯科口腔保健の推進に関する条例」も施行されており、県は計画で効果的に施策を講じたい考えだ。

 障害者は姿勢の維持やコミュニケーションが難しく、治療を拒む場合があるほか、介護が必要な高齢者は通院が困難であるなど、両者をめぐる歯科医療は課題が多い。

 県はまず、利用施設での歯科検診や保健指導の実施状況などを把握する。その上で、歯科医師会や担当部署と連携し、医療が必要な人がどの程度いるかを調べて提供体制を検討する。

 障害者については、施設の職員らに対し、口腔機能の向上のための研修を実施したり、受け入れる医療機関の名簿を作成して情報提供したりする。

 成人は学校で定期的に検診を受ける子どもと異なり、仕事による多忙や意識の低下から管理が不十分になる。今後は受診の必要性や歯間ブラシの使い方を啓発。40代で進行した歯周炎がある人を現状の40%から35%にし、かかりつけ医を持つ人も85%に増やす。

 環境整備にも力を入れる。介護や看護の職員を対象に、ボランティアの「歯科保健サポーター」の養成研修を実施。働く現場での対応や、同僚への知識の普及に生かしてもらう。

 計画の進み具合を評価する組織として、保育や介護、医療、衛生など多分野の専門家で計画推進会議を立ち上げ、課題や必要な施策を洗い出す方針だ。

 県保健予防課は「歯と口の健康を保つことは、質の高い生活を送り、健康寿命を延ばすことにつながる」と説明している。

 ◎条例制定が全国で拡大

 歯科保健対策をめぐっては、全国約80の県や市、町などの自治体が条例を定めており、歯と口の健康づくりは行政が近年特に力を入れている課題の一つだ。

 新潟県は2008年7月、歯科保健推進条例を全国に先駆けて施行。子どもから高齢者まで生涯にわたる施策を一つにまとめようと、行政と歯科医師会、県議が連携して条例化を目指してきた。担当者は「子どもの虫歯予防は成果が出ているが、今後は成人や高齢者への施策を一層進めたい」と話す。

 群馬県では、12年9月に大泉町の「歯と口の健康づくり推進条例」が施行された。歯周病予防を促す検診に本年度から30歳を対象に加えるなど、成人の歯周病対策を強化している。

2014年2月20日 提供:上毛新聞