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骨の健康守るタンパク質 形成促進、破壊は減らす

 体内で骨を作る細胞を増やす一方、骨を壊す細胞を減らして骨の健康を守るタンパク質を、高柳広(たかやなぎ・ひろし)東京医科歯科大教授らのチームがマウスの実験で特定し、18日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 骨の新陳代謝の過程で形成と破壊のバランスが崩れると、骨粗しょう症などになる。現在の治療は骨の破壊を抑える薬が中心だが、形成も同時に阻害されてしまうのが問題だった。今回、特定されたタンパク質は人間にもあり、高柳教授は「骨の破壊を減らすとともに形成を増やす新しい治療法の開発につながる」と話している。

 チームはマウスの骨を作る細胞から分泌されるタンパク質を解析。そのうち神経細胞の成長などに関わる「セマフォリン3A」というタンパク質が、骨の形成を促進すると同時に、骨を壊す細胞を作りにくくして骨破壊を抑制することを確認した。遺伝子操作でこのタンパク質が働かないようにしたマウスでは、通常と比べて骨を壊す細胞は2倍増加し、骨量が3分の1以下になった。

 マウスの大腿(だいたい)骨にドリルで小さな穴を開け、このタンパク質を穴周辺に投与して骨の再生度を調べると、投与していない場合と比べて骨量は1・5倍ほど増加。骨粗しょう症のマウスの実験でも、投与で骨量が正常近くまで回復した。
 

2012年4月19日 提供:共同通信社