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舌の色調、運動ストレスなど生活習慣と関連

人間ドック受検者を対象とした調査結果を
伊奈病院・副院長新井善雄氏が報告


 1月22日の一般演題で医療法人一心会伊奈病院健康管理センター(埼玉県北足立郡伊奈町)の副院長新井善雄氏は人間ドック受検者を対象に舌の色調と生活習慣の関連を調査した結果を報告。生活習慣の悪化と異常な舌の色調に関連が見られたことを示し、健康管理上、舌の色調の観察が有用であると解説した。

舌の色調を正常(淡紅色)、異常(赤、紫、赤紫)に分類

 対象は2004年−2007年の人間ドック受検者3600名(延べ人数)。舌の色調と生活習慣因子との関連を比較検討した。舌の色調は正常(淡紅色)、異常(赤、紫、赤紫)に分類し、生活習慣因子としては運動、ストレス、VDT(visual display terminal)作業時間、喫煙を評価した。

 それぞれの生活習慣因子は問診票に基づき、運動なし、あり(30分程度の散歩に相当)、かなり(60分以上の散歩に相当)、ストレス(自己申告)なし、あり、かなり、VDT作業時間0時間、1−4時間未満、4時間以上、喫煙0本、1−19本、20本以上に分類した。

 生活習慣不良群(運動なし、ストレスあり、VDT作業時間1時間以上、喫煙1本以上)と良好群(運動あり、ストレスなし、VDT作業時間1時間未満、喫煙0本)で舌の色調を比較すると、男性の不良群で正常な舌の色調約15%、良好群で約50%、女性の不良群で正常な舌の色調約20%、良好群で約80%だった。

 次に新井氏は生活習慣の変化が舌の色調に及ぼす影響を調査。運動の生活習慣が増加した群では、舌の色調異常が男性28%で減少し、女性20%で減少した。異常な色調が増加した割合は男性14%、女性10%だった。

 ストレスと舌の色調は運動と逆の相関関係が認められ、ストレスが増加した群では舌の色調異常が男性27%で増加し、女性も27%で増加した。異常な色調が減少した割合は男性14%、女性10%だった。

 さらに運動増加ストレス減少群と運動減少ストレス増加群に分け比較すると、その差はより顕著となった。つまり、運動増加ストレス減少群では男性48%、女性39%で異常な色調が減少し、増加したのは男性5%、女性0%だった。一方、運動減少ストレス増加群では、男性9%、女性11%で異常な色調が減少し、男性42%、女性31%で増加が認められた。

 新井氏はこれらの結果を踏まえて、「舌の色調は生活習慣と関連がみられ、よい生活習慣であれば正常な色調、悪い生活習慣では異常な色調となる」と解説。「舌の色調の変化は健康管理上重要と考えられる」と強調して、演題を終えた。

2010.1.28 記事提供:m3.com