脂肪はエネルギーが高いと敬遠されがちだが、旨みとコクがあるので、なかなか抑えることはむずかしい。ついつい摂り過ぎてしまう……。ところで脂肪でも動物性脂肪(ラード、バターなど)は植物油に比べて体脂肪として蓄積されやすいということがラットを使った研究で分かった。

日清オイリオグループ研究所の竹内弘幸氏は、4群に分けたラットに12週にわたって同じエネルギー量の餌を与える実験を行なった。

1群に与えたのは飽和脂肪酸であるパルミチン酸を多く含むラード食。2群にはオレイン酸を多く含む高オレイン酸べに花油食を与えた。そして3群にはリノール酸を多く含む高リノール酸べに花油食、4群にはアルファーリノレン酸を多く含むアマニ油食を与えた。

その結果、動物性脂肪に多い飽和脂肪酸を与えた群に比べ、植物油に多いオレイン酸、アルファーリノレン酸など不飽和脂肪酸を与えたラットの体脂肪蓄積は少なかった。

なぜこのような結果が出たのか調べたところ、飽和脂肪酸は交感神経の活性を低くし、食事が誘発する体熱の産生を減らしていた。同時に脂肪組織でのリポタンパク質リパーゼの活性を上昇させて、体脂肪を蓄積させる効果を発揮していた。

なお、魚油に多いアルファーリノレン酸系のEPA、ドコサヘキサエン酸(DHA)は体脂肪の蓄積を抑える働きがあるという。肥満予防には摂取する脂肪量だけでなく、その質を考えることが大切である。
(新宿医院院長  新居 裕久)

2006.6.17 日本経済新聞