大豆イソフラボンが脚光を浴びている。これは主に大豆の胚芽(はいが)に含まれているフラボノイドの一種だが、女性ホルモンに化学構造が似ているため、植物性女性ホルモン(エストロゲン)と呼ばれ、女性ホルモンに似た働きを持つ。

女性が45−55歳になって閉経を迎え、女性ホルモンが減少してくると、ほてり、のぼせ、いらいら、頭痛などの不定愁訴を起こしたりする更年期障害がでたり、骨粗しょう症などが起きやすくなる。この時に大豆イソフラボンを十分摂ると予防できるといわれる。さらに女性ホルモンと関係が深い乳がんや、男性では前立腺がんの予防も期待されている。

大豆イソフラボンの1日摂取目安量の上限値は、内閣府の食品安全委員会によると、糖が外れた「アグリコン」の形で70−75ミリグラムを超えない量としている。

これは、イタリアで閉経後女性を対象に大豆イソフラボン錠剤を1日あたり150ミリグラムとり続けた試験で、子宮内膜増殖症の発症が有意に高かったことや、日本で閉経前女性が1日75.7ミリグラム摂り続けたところ、血中の女性ホルモンが10%低下し、平均月経周期日数の延長がみられたことなどからである。

大豆イソフラボンを目安量の範囲内で摂るのには、大豆及びその加工品を日常の食事でしっかり摂ればよい。そうすれば、良質なたんぱく質などの栄養素も摂れる。その量は納豆で100グラム(小2パック)位、豆乳なら300ミリリットル位。豆腐なら300グラム(1丁)強で。その点、和食は摂りやすい。

(新宿医院院長  新居 裕久)
2006.3.25 日本経済新聞