サプリは賢く活用

サプリメント(栄養補助食品)について考えてみたい。

日本健康・栄養食品協会の調べによると、健康効果をうたった特定保健用食品、いわゆるトクホの2005年度の市場規模は6299億円(推計)。調査を開始した1997年度の4.8倍に拡大したという。

スーパーやコンビ二、ドラッグストアへ行くと「血糖値が気になる人へ」「体脂肪がつきにくい」などをアピールする飲料や食品がたくさん並ぶ。こうしたサプリ類があふれるなか戸惑う人も多いだろう。自分にあったサプリは何か、何を飲めば生活習慣病にならずに済むか相談できるところがない。

医師にアドバイスを求めてもとりあってもらえないことも多い。私たち年代の医師は新しい栄養学の教育を受けていない。多くの医師は診療に忙しすぎ予防のために時間が割けない。医療保険制度の将来が危ぶまれているが、予防医療にシフトするため看護師や薬剤師、栄養士らも協力しやすくなる制度改革がいる。

市場が拡大したトクホだが、まだまだ正しい使い方ができていない。個人の食生活、健康状態に基づいて、なにが足りないか、どんな病気になる危険性があるかを詳しく調べた上で、一番あったトクホを食の補完と位置づけ継続して取るのが理想だろう。

オーストラリア先住人、アボリジニに対する栄養改善調査では大豆のサプリが大いに活躍した。

アボリジニには20代から糖尿病や高血圧に悩まされる人が多い。「大豆は体にいい」といって食べてもらうと、たんぱく質の過剰摂取につながり腎臓病など合併症を悪化させかねない。いろいろ検討した結果、大豆からたんぱく質分を取り除き、イソフラボンやサポニン、マグネシウムなどの成分を保ったタブレット(錠剤)を提供してあげた。

必要な栄養素を食から取るに超したことはない。しかし、高齢者も多く一病息災の時代、個人差への配慮がいる。賢くサプリは活用したい。医療は「治療」から「予防」に変わっていかねばならない。

(武庫川女子大国際健康開発研究所長  家森 幸男)

2006.4.23 日本経済新聞