ダークチョコがPAD歩行を改善? 【米国心臓協会】 ポリフェノール効果で末梢動脈が拡張か



 米国心臓協会(AHA)は7月2日、ポリフェノールを豊富に含むダークチョコレートの摂取により、末梢動脈疾患(PAD)患者の自立歩行能力が軽度改善したというイタリアの小規模パイロット研究を紹介した。Journal of the American Heart Associationに掲載。

 本研究では、60-78歳の男性14人、女性6人のPAD患者を対象に、トレッドミル歩行検査を午前中(摂取前)とチョコレート摂取2時間後に行った。2種類のチョコレート(カカオ含有量85%超のダークチョコレートと30%未満のミルクチョコレート)はそれぞれ別々の日に摂取した。ダークチョコレート摂取後は、摂取前に比べ、距離にして約12 m(11%)、時間にして約17秒(15%)長く歩けたが、ミルクチョコレート摂取後は、距離も時間も改善しなかった。

 ダークチョコレートを摂取すると、一酸化窒素濃度が上がり、その他の酸化ストレスの生化学的指標は低下した。一酸化窒素により末梢動脈が拡張し、歩行が改善した可能性がある。研究チームは、カカオに含まれるポリフェノールにより酸化ストレスが減少し、末梢動脈血流が増加した可能性を示唆している。

 本試験はプラセボ群のない予備的なもので、摂取するチョコレートの種類を自分が知っていたことが結果に影響した可能性もある。AHAは「ポリフェノールやダークチョコレートが心血管に良いと推奨するには時期尚早」と述べており、長期間消費による大規模試験での確認が必要である。

 ダークチョコレートはカロリーや糖分、脂肪分も多いが、クローブやヘーゼルナッツなど、砂糖が少なく、低脂肪、低カロリーで高ポリフェノールな食物もある。「ポリフェノールが患者のQOLを高め、心血管合併症に対処する新戦略となり得る」と、研究者は期待している。

提供:米国学会短信 2014年7月15日(火)

2014年9月10日更新