健康食品4割、薬効低下 
ダイエット関連で顕著 厚労省研究班



 市販されている健康食品の約4割に、体内で薬や毒物の成分を分解、排出する「薬物代謝酵素」の働きを促す作用があり、医薬品の効き目を低下させるとの結果を厚生労働省研究班が21日までにまとめた。

 特にハーブやウコンの成分を含んだダイエット関連の商品は薬効低下が顕著で、研究代表者の永田清(ながた・きよし)東北薬科大教授は「健康食品に副作用がないとの先入観は誤りで、医薬品の効果を弱めたり、逆に強めたりするものもある。飲み合わせには注意が必要だ」と指摘している。

 研究班は2010〜11年度、各地の薬局約100店舗を対象に健康食品の販売状況を調査。取り扱いがあった243品目のうち約200品目について、医薬品への影響をみるため順次実験を行い、12年度に結果を集計した。

 実験ではヒトの肝臓を模した培養細胞を作り、健康食品の抽出成分を吸収させて反応を観察。細胞内の薬物代謝酵素のうち、医薬品成分を分解する際に働く「CYP(シップ)3A4」「CYP1A1」の2種類の酵素が活性化するか調べた。

 その結果、この2種類の酵素のいずれか、または両方を活発に働かせる健康食品が、総合ビタミン剤も含めて約80品目に上り、医薬品成分が効力を十分発揮する前に分解される傾向があることが分かった。薬効が弱まると考えられる医薬品の種類は、睡眠薬、降圧剤、抗うつ薬、免疫抑制剤など。

 同じウコン含有製品でも「黒ウコン」「春秋ウコン」のようにさまざまな種類があり、酵素活性化作用がどの程度あるかは各商品でばらつきがみられた。原材料の産地や製造方法などで違いが出ている可能性がある。

 永田教授は「健康食品が薬の効果にどのような影響を及ぼすのか、国がデータベース化して情報提供する仕組みを作るべきだ」としている。

※健康食品

 栄養補給や健康増進などを目的とする食品の総称。法的な定義はなく、通常の食品と同様に広く流通している。錠剤やカプセル状のサプリメントなどのほか、ウエハースのような菓子や飲料などさまざまな形態の商品があり、全体の市場規模は2兆円ともいわれる。医薬品と違い効能や効果を表示することはできないが、国の審査を受け、有効性や安全性が認められた特定保健用食品(トクホ)などは「おなかの調子を整える」といった一定の効果を表示できる。

※薬物代謝酵素

 体内に入った薬物や毒物などを分解、排出するための酵素。肝臓に最も多く存在する。臨床で使用される医薬品の約9割の代謝に関わる酵素がチトクロームP450で「CYP(シップ)」と呼ばれる。ヒトの体内で働く主なCYPは約10種類あり、アミノ酸配列などによって数字とアルファベットを組み合わせて表記される。その中でCYP3A4は、半数の医薬品の代謝に関わっている。


  2013年9月24日 提供:共同通信社