桃 心血管疾患に効果


 
桃 心血管疾患に効果 研究5年、和歌山県立医大などのグループ解明

 桃に動脈硬化などの心血管疾患を予防する効果があることを、県立医大の宇都宮洋才准教授(細胞生物学)らの研究グループが解明し、英国専門誌「FOOD CHEMISTRY(フードケミストリー)」に発表した。桃にこのような効果があることを証明したのは世界初という。

 宇都宮准教授らは2002年、梅に心血管疾患を防ぐ効果があることを突き止めていた。桃が梅と同じバラ科の果物▽「桃を食べると血液の流れが良くなる」などの伝承の存在――などから、桃にも同様の効果があると仮定し、約5年前に研究を始めた。

 実験の結果、マウスに桃の濃縮成分の抽出物を与えると、血管を収縮させ血圧を上昇させるホルモン「アンジオテンシン2」の過剰な活動を抑制することが判明した。アンジオテンシン2の刺激による活性酵素の発生を抑制することで、動脈硬化や高血圧を防ぐことができるという。

 研究グループの和歌山工業高専の奥野祥治准教授(工学)は、桃に含まれるポリフェノールの一種が作用しているとみており、今後、物質の特定や桃1個に含まれる量などを調査する。

 宇都宮准教授は「和歌山は桃の生産量が全国有数。この研究結果を知って、もっと多くの人に和歌山の桃を食べてもらいたい」と話した。【中村好見】


   2013年8月10日 提供:毎日新聞社