栄養のバランスは従来たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素をとればよいといわれてきたが、近年、食物繊維は便秘や各種生活習慣病を防ぐということから第6の栄養素といわれるようになり、厚生労働省ではそれぞれの栄養素の所要量などを決めている。

ところが1980年代になって、植物の中には、人体で重要な働きをする、ビタミン、ミネラルとは異なる物質の含まれていることが分かり、これをファイトケミカルと呼んでいる。「ファイト」とはギリシャ語で植物を意味し、野菜や果物、豆類に多く含まれている。その種類は数千種類以上あるといい、これはカロテノイド群、ポリフェノール・フラボノイド群、硫黄化合物群と大きく分けられる。

ファイトケミカルの主な働きは、抗酸化作用。がんや動脈硬化、老化防止などを促す活性酸素を消去する働きがあるので、植物由来の抗酸化栄養素ともいえ、第7の栄養素と呼ばれている。ファイトケミカルは従来の栄養素のように、不足するとすぐに欠乏症を起こすということではないので、一応健康を保つための物質と考えられている。必要量は1日に、いろいろな野菜を350グラム以上、いろいろな果物を200グラムぐらいとることが目標とされている。

ファイトケミカルには、固有の働きを持つ物がある。大豆中に多く含まれるフラボノイドの一種イソフラボンは、女性ホルモン様の働きがあり、更年期や骨粗しょう症に有効。茶のカテキンは食中毒菌を抑える。これらの心配のある人はしっかりとったほうがよいだろう。
(新宿医院院長  新居 裕久)

2005.6.11 日経新聞