スイートコーンは主食でない

とうもろこしは、米や小麦とならぶ世界三大穀物の一つ。その主成分は、たんぱく質、脂質、炭水化物で、これらは米なみに含まれているので、穀類として取り扱われている。だが、日常、日本人が一般にとっているとうもろこしは、実は、スイートコーン(未熟種子)と呼ばれるもので、野菜類として取り扱われている。

この場合種子が未熟なので、たんぱく質、脂質、炭水化物の量は、とうもろこし(玄穀)に比べて3分の1くらいしか含まれていない。

とうもろこしは、栄養価の高い食品といわれているが、スイートコーンの場合は、ごはん(精白米)がわりにはならない。

ビタミン、ミネラルについては、米(精白米)に比べて、カリウム、マグネシウム、ビタミンB1、B2、Eは多く含まれているが、これらは、種子の胚芽部分に集中して含まれている。

このため、スイートコーンをかぶりついたり、種子を包丁で切り取って食べたりすると、これらの栄養素はほとんどとれない。食するときは、手で種子の部分をこそぎ取るようにして食べることをおすすめする。食物繊維が約3%と多く含まれているので、便秘の予防や治療になる。

スイートコーンは名前がしめすごとく、甘くてソフトな感触が特徴で食欲を促す。

ただし、甘味は朝取りのフレッシュなものが強いので、できるだけとりたてのものを、早く食するようにしたい。時間がたつと、種子を成長させるために、甘味がエネルギーとして使われてしまい、味が落ちるからだ。

(新宿医院院長  新居 裕久)


2007.9.1 日本経済新聞