夏場の野菜売り場にはカラフルな野菜が並ぶ。その1つに青々としたピーマンや赤ピーマンがある。一般に両者の野菜は異なるものだが、ともにナス科のトウガラシ属に属するもの。辛みの強いトウガラシの親戚で、ピーマンの方は辛みの代わりに甘みのあるものとして作られた。

ピーマンの緑は葉緑素によるものだが、暑い日光にさらされているうちに葉緑素が減少する。それに代わってカロテノイドの一種である真っ赤な色を持ったカプサンチンが生まれ、完熟すると赤いピーマンができる。

ピーマンは栄養の面からみると、カロテン、ビタミンE、ビタミンCが多く含まれている。しかし、赤ピーマンの方は青ピーマンに比べて栄養価が高く、カロテンが約2.5倍、ビタミンEが約5倍、Cが約2倍位多い。カロテン、ビタミンC、Eは抗酸化作用があり、生活習慣病を促す活性酸素を消去する働きがある。そしてカプサンテンはカロテンやリコピン(トマトに多い)に比べて、より抗酸化作用が強いという。

これは試験管内や動物実験の結果だが、老化や動脈硬化、がんの予防が期待できるという。ピーマンはあぶら料理によく合い、炒め物(ピーマンと牛肉の炒め物など)、揚げ物(天ぷら、フライなど)、サラダなどにしてとると美味しい。

なお赤ピーマンは青ピーマンに比べて甘みと旨みが強く、酸味もあり、青臭さが少ないので、生で食べても美味しい。カロテン、カプサンチン、ビタミンEはは脂溶性なので油脂類と一緒にとると吸収率もアップする。

(新宿医院院長  新居 裕久)


2007.8.4 日本経済新聞