豚の内臓や肉を生で食べたあと、発熱や吐き気、黄疸(おうだん)など急性肝炎の症状が現れると、E型肝炎ウイルス(HEV)への感染を疑ってみるのが良いかもしれない。放っておくと、肝炎が劇症化して命を落とす危険性すらある。

豚以外、イノシシやシカを食べてもウイルスに感染する可能性がある。感染後も症状が出ず気付かないことも少なくない。潜伏期間は平均6週間で、発病したとしても点滴などの治療を受けると自然に治る。しかし、劇症肝炎になると決め手となる治療法がなく、極めて高い確率で死亡する。

劇症肝炎になる比率は1−2%だが、詳しいことは分かっていない。高齢者や妊婦が感染すると症状が重くなりやすいと言われている。輸血でもウイルスに感染する危険性があり、1月には北海道で国内5例目の輸血感染が確認された。

肉は十分に熱を通すとウイルスは死滅する。ただ、中まで火が通らずに感染したとみられるケースも。「焼き肉では生肉を扱うはしと口にいれるはしを別々にするなど、十分に気をつけてほしい」
(東芝病院の三代俊治研究部長)


E型肝炎ウイルスへの感染で起こる主な症状と対処法


 

症状
対処法
不顕性感染 症状なし
急性肝炎 発熱、体のだるさ、食欲不振、吐き気、黄疸 点滴など
劇症肝炎 意識混濁、非常に高い確率で死亡 インターフェロン投与など







2006.5.21 日本経済新聞