カラダの年齢7種類測ってみた

脳39・肺59歳…健康度知る

  高齢なのにかくしゃくとしたお年寄り。若いのに顔色がさえない青年。実際の年齢と見た目は必ずしも一致しない。最近は血管や肺、顔の肌、頭皮などの年齢を測る方法があるという。40歳間近の記者(39)が7種類の「カラダ年齢」を測ってみた。私は何歳?


 まずは自信があるものから。顔の肌は「つやがいい」と言われることもあり、若く判定されることを期待して訪ねたのは広尾皮フ科クリニック(東京都渋谷区)。ここでは専用の画像解析装置を使いシミやしわの数、きめの状態などを有料で調べてくれる。

シミの数51歳 頭皮15歳以下
 カメラ付きの装置に顔を入れ込み、3方向から撮影。さらに別のカメラで撮影した肌のアップを見ると、居酒屋で注文する「えいひれ」の表面のよう。検査は10分ほどで終了し、すぐに結果が出た。
 シミの数は51歳、目の下のしわの数は46歳……。項目ごとに出る肌年齢は軒並み実年齢をオーバーした。「皮膚の下にたくさんのシミ予備軍があります」と和泉達也院長。
 日焼け止めを塗ったことはほとんどなかった。男性は肌のケアをおろそかにしがちで、高い年齢が出やすい。5年すればシミが一気に目立ち始める可能性があるらしい。
 同じ体の表面でも頭皮はどうか。頭皮マッサージを手がけるサロン「HAIR KEEPER」池袋店(東京都豊島区)では、頭皮年齢の測定ができるコースがある。測定器で撮影し、毛穴の状態、一定面積当たりの毛髪の数などを調べた結果は、なんと「15歳以下」。「これは非常にまれ。毛穴がとてもきれい」と、同店を経営する会社の松井英史社長が驚いた。
 シャンプーしか使っていないと話すと「結果的に良かったのかも」。リンスなどが洗い流されずに頭皮に残ると、毛穴を清潔に保てないことがあるという。

 頭皮の次はアタマの「中身」。測定機器は総合医科学研究所(大阪府豊中市)が開発し、医療機器販売のエルクコーポレーションが製品化した「脳年齢計ATMT」。同社が医療機関や業者向けに開くショールーム(東京都文京区)で、脳年齢を測った。
 検査は画面に不規則に並ぶ「1」から「25」までの数字を順に押すもの。 「1」のボタンを押すとそれが消えて「26」のボタンが現れるので、画面上のボタン数は常に同じ。2回の測定のうち1回目はボタンの配置がわからないが、2回目はボタンを押すたびに配置が変化するので、記憶は通用しない。
 2回の測定に要した時間で「素早さ」、2回目後半の反応速度をもとに「元気度(疲れにくさ)」を判定。さらにボタン配置を記憶できる1回目と、記憶ができない2回目の反応速度の差をもとに「有効活用度」を調べ、この3つの指標から脳年齢を算出する。
 結果は実年齢と同じ「39歳」。素早さと活用度が同年代平均を下回ったが、元気度は平均以上。エルクコーポレーションの後藤秀基さんは「会話をする機会が多い人ほど若い年齢が出る傾向がある」と説明する。例えば通訳。話を聞き、言語を置き換え、別の人に伝えるという過程が脳に刺激を与えるそうだ。

健康チェックの入り口に役立て
 1日15本ほどたばこを吸うので、測定前から気が重かったのが肺年齢。これは日本呼吸器学会が提唱する指標で、同学会の肺年齢普及推進事務局(東京都渋谷区)で測った。
 筒をくわえて息を吸い込み、一気に吐き出す。計測するのは最後まで吐き出した量のうち、最初の1秒間に吐き出せた分の割合。これを「1秒率」といい、70%以下だと肺の疾患の疑いがあるという。
 1秒率の結果は88.42%。この数字はまずまずだが、全体の肺活量も1秒間で吐き出す量も同年代の8割程度しかなく、判定は「59歳。今のところ病気と診断されるほどではない」。同学会常務理事で久留米大教授の相沢久道さんは「喫煙の影響のほか、肥満気味の体が呼吸を圧迫している可能性がある」と、記者のおなかに視線を落としながら説明してくれた。
 喫煙の影響が考えられる血管年齢は、東京血管外科クリニック(東京都千代田区)で調べた。心臓の拍動が伝わる速度をもとに動脈の硬さを測る。結果は予想外にも「20代後半」。横山滋彦院長は「遺伝的に無理がきく体を受け継いでいるのかも。でも喫煙は悪影響。油断は禁物」と忠告された。動脈硬化が進むと心筋梗塞(こうそく)などの病気につながりやすい。
 このほか体力年齢や口腔(こうくう)年齢も測定。これらを含めどの測定も基本的に、一定数の調査データをもとにどの年齢・年代の平均値と近いかで「○○年齢」を算出している。
 「15歳」から「59歳」まで、部位により“加齢度”には大きな幅があった。定期的な健康診断では細かい検査数値まで正直、なかなか注意がいかないが、分かりやすいカラダ年齢で示されると健康状態に関心が向く。血管年齢や肺年齢を測定した人の中には、精密検査を受ける動機づけになった人も少なくない。健康チェックの入り口として計測するには手軽な手段といえそうだ。

記者のつぶやき
初対面の人に実年齢を告げると「お若く見えますね」とよく言われる。これからは信じまい。
年齢測定はあくまで目安。でも、肺年齢「59歳」には落ち込んだ。おかげで禁煙に踏み切れそうだ。
測定の結果に一喜一憂するだけではそれで終わり。分かった体の「不安」をもう1度チェックして、「不惑」の40歳を迎えたい(板津直快)

カラダ年齢は?

2008.10.18 記事提供:日経新聞