健康ウオーキング 糖尿病

血糖を下げる効果

 糖尿病の多くは症状がないまま進行し、重症化すると網膜症や腎症、神経障害などの合併症を引き起こす。さらに失明や人工透析を余儀なくされる。脳卒中や心筋梗塞(こうそく)のような命を脅かす重篤な病気も発症する。
 2002年度の糖尿病実態調査では糖尿病患者の推計は約1620万人で、内訳は糖尿病が強く疑われる人が約740万人、糖尿病が否定できない人は約880万人だった。有病者は1997年度の調査と比べ約250万人増えた。
 糖尿病が強く疑われる人のうち、糖尿病検査を受けたことのある人の55%が治療を受けていたが、検査を受けたことのない人は89%が治療を受けていなかった。糖尿病の発病と重症化の予防には、まず検査を受け治療することが大事。2008年度より新しく特定健診・保健指導の制度が始まる。必ず受診しよう。
 糖尿病の病態はインスリンの作用不足。日本人は元来インスリンの分泌が少なく、軽度の肥満や歩行(運動)不足でインスリン抵抗性になると、糖尿病を発症する。男性では50代で、女性では60代から急増する。中高年の糖尿病の多くが日常生活における歩行不足と身体活動不足だ。
 糖尿病に対する歩行の血糖降下作用には、運動時の急性効果と慢性効果(トレーニング効果)の2種類ある。
 急性効果は筋肉で利用されるエネルギーを補うために糖の取り込みを促進して血糖を下げる。速く、長く歩くほど血糖は改善する。歩いた後もグリコーゲンの再合成やインスリンの感受性が亢(こう)進するので血糖は下がる。インスリンを注射している人や薬を飲んでいる人は、歩いている最中から翌日くらいまで血糖が低くなることもあるので注意しなければならない。
 慢性効果は筋肉のミトコンドリア数や、糖輸送体(GLUT4)量の増加によるもの。この効果を得られると安静時でも血糖の上昇を防ぐことができる。特に強い運動や長く歩かなくてもライフスタイル・ウオーキングを長期に継続すると、効果が出てくる。
(日本ウオーキング協会副会長  泉 嗣彦)

2007.11.11 記事提供  日経新聞