心不全招く 虚血性心筋症

 胸焼けやみぞおちが締め付けられるように重苦しく痛む。こうした症状が十分から数時間続いたら、虚血性心筋症かもしれない。一刻も早く心臓外科のある総合病院などを受診しなければ命取りになる。
 虚血性心筋症は心筋梗塞(こうそく)や狭心症の総称で心不全を招く。動脈硬化などがひどくなると心筋(心臓の筋肉)への酸素供給が減ったり途絶えたりし、心臓が十分に血液を送り出せなくなることで起こる。中高年の男性に多く、年間100万人以上が発症している。
 心電図検査や冠動脈造影で診断するが、治療方針を決めるには医師が症状を確実に把握しなければならない。痛みと症状の緩和にニトログリセリンや鎮痛剤が主に使われる。発症予防にはベータ遮断薬やカルシウム拮抗(きっこう)薬を使うことが多い。症状が重いとカテーテル治療やバイパス手術が必要になる。
  日本大学医学部の斎藤穎教授は「高血圧や喫煙、糖尿病、肥満などが危険因子。特に家族に病歴がある場合は生活習慣を改善した方がよい」と訴える。

虚血性心筋症の主な症状
・胸や肩、首、下あご、みぞおちなどが痛む
・痛みが胸から肩や腕に広がることがある
・安静にすることで痛みが軽減することがある
・心臓がドキドキする感じがある
・息切れがする
・疲労や脱力感を感じる

 

200612.31 記事提供 日経新聞