冷え対策に入浴法工夫

ぬるめの湯にじっくり20分
血行よくし芯まで温まる


 寒さはこれからが本番。冷え切った体をゆっくり温泉につかって温めたいと思っている人は多いと思うが、じつは家庭のお風呂でも工夫次第で体は芯から温まる。体の冷えを解消するための入浴法を、冷え性治療に詳しい医師や温泉療法医に聞いた。
 「体の冷えというのは、少しずつたまっていく。この時期の冷えをしっかり解消しないと、疲れやすいおなかをこわしやすいといった、慢性的な体の不調につながる」というのは、「冷え性」の治療に積極的に取り組んでいる目黒西口クリニックの南雲久美子医師である。

 南雲医師によれば、体の冷えをとるのに簡単で、しかももっとも効果のある方法が入浴だ。入浴の習慣は、人それぞれだが、体の冷えを解消するなら「ぬるめの湯にじっくり」が基本だという。「1日に1回、38度から40度の湯に15分から20分つかる」という処方せんもあるが、そこにはちゃんと生理学的な理由がある。
 「38度の湯に十数分つかっていると、全身がリラックスし自律神経のひとつである副交感神経の働きが活発なる。すると体表の毛細血管が拡張して血行がよくなり体の芯まで温まるようになる。そこで必用なのが20分の入浴」(南雲医師)というわけである。
 湯が熱いと熱い湯の刺激で逆に交感神経が活発になり毛細血管は縮む。体表は真っ赤で、大汗をかいても、体の芯は実は冷たいままというわけだ。
 最近、女性に人気の半身浴も、この生理学的メカニズムに合った入浴法のひとつだという。「肩までつかった方が温まりやすいのだが、全身に熱と水圧が加わると体に負担がかかり、20分がつらい場合もある」(南雲医師)。高齢者や疲れているときには、湯にみぞおちまでつかる半身浴がおすすめだ

 ただ、半身浴は、正しい入り方をしないと、逆に体を冷やしてしまいかねないともいう。まず、大切なのは浴室の温度。少なくとも入浴の15分前には湯船のふたを開けて、浴室全体を暖めておきたい。冬場など、それでも肩口がひんやりするときは、湯船のふたを半分かけて、温かい湯気をこもらせると快適だ。

入浴後の冷え注意
 半身浴の場合、湯の温度は湯量が少なくさめやすいので、少し高めの40度ぐらい。20分以上ゆっくりつかっていると全身浴と同様に温まってくる。上半身がしっとりと汗ばんでくればOKである。なお、半身浴で多い間違いは、、汗をかこうと、サウナがわりにつかうことだ。湯をさらに熱めにして、ダラダラと汗をかくと、それなりに気持ちがいいが、「こうした汗は入浴後もしばらく止まらない。疲れるし、逆に体を冷やしてしまう」(南雲医師)というから要注意だ。
  全身浴や半身浴では、入浴後のケアも重要だ。「体が温まったからといって、薄着でふらふらしていると体はどんどん冷えてしまう」というのは温泉療法医でもあるエビス診療所の松原英多医師。体がほてったときこそ、軽く毛布などをまとい、静かに横になっていると自然に汗も引き、体の冷えを内部からじっくり癒してくれる。

足浴や手浴も有効
 疲れがひどくて入浴したくないとき。風邪気味で入浴できないときなどは、足だけつかる足浴や部分浴もおすすめだ。少し高めの40度から42度の湯に、15−20分ぐらいふくらはぎから下をつけると全身が温まってくる。手先だけ湯につける手浴は、仕事中や家事の合間に洗面所などでも行える。
 手先だけ温めていても、神経の反射で上半身の毛細血管が広がることがわかっている。リラックス効果があるほか、肩こりの予防になる」(松原医師)ので、昨今、省エネで寒くなったオフィスの対処法ともなりそうだ。
ぬるめでじっくりが入浴の基本だ。だが、「20分も間が持たない」というせっかちな人には、「歯周病予防へじっくり歯を磨くといい」(松原医師)、「手や足のツボ押しがおすすめ」(南雲医師)という。長くなる入浴タイムは、自分の健康を考える時間と考えたらいいのだろう。                
(ライター  荒川 直樹)

体を芯から温める入浴法
基本の入浴法
■ぬるめの温度(38−40度)
■15−20分ゆっくりつかる

半身浴
■40度で20分
■疲れているときや高齢者に
半身浴はこうすれば快適に−冬は上半身が冷えやすいので湯船のふたを半分かけるといい
温まり効果の目安−上半身に、汗がしっとりにじむ程度がベスト。ダラダラ汗はダメ

手浴
■42度から
■仕事中のリラックスや肩こり予防に
気持ちいいと感じるちょっと高めの温度で肩のストレッチを併用して

足浴
■40−42度で20分
■疲れがひどいときや風呂に入れないとき

(注)南雲医師らの取材を基に作成




2008.1.5 記事提供 日経新聞社