甲状腺の腫れ、超音波診断を

首の付け根の固いしこりが気になったら、結節性甲状腺腫と呼ばれる腫瘍(しゅよう)かもしれない。良性の腫れが多いが、大きくなって食道や気管を圧迫するケースもある。まれに悪性腫瘍のがんがみつかることもあるので注意したい。

結節性甲状腺腫は、のど仏と首の付け根の間にあるちょうの形をした甲状腺の一部が腫れる。ほとんどの場合、自覚症状がなく大きくなるまで気付きにくい。患者は国内では30−50代の女性を中心に、20−30人に1人いるとされる。

超音波検査で直径が5ミリメートル以下の小さな腫れでも発見できる。腫れが大きくがんの可能性があるときは、細い針を刺して細胞を調べる。大きな腫れなら手術で摘出する。がんは全体の約2割を占めるとされるが、その9割はゆっくり大きくなるので早めに手術すれば危険はない。

ただ、「70歳以上の高齢者では突然進行が早いがんに変わり、半年以内に死亡することがある」と金地病院(東京・北)の山田恵美子院長は注意を促す。「早期発見が重要。少しでも気になったら検査を」(同)とアドバイスする。

結節性甲状腺腫の主な特徴


・のど仏と首の付け根の間にしこりができる
・首の一部が太くなる
・痛みなどの症状はない
・大きくなると食道や気管が圧迫され苦しくなることも
・高齢の場合は急に悪性度がますことも
・まれにバセドウ病のように動悸(どうき)、発汗などがある

 

2008.4.27 記事提供 日経新聞社