継続的に食べよう
1日に100−200グラムメド
夜より朝が効果的

これから暑さ本番。たまにはアイスクリームやジュースもいいが、ひんやりのどを潤し胃腸にもやさしいヨーグルトはいかが。ダイエット食としてすでに根強い人気があるこの商品、最近は骨を強くしたり血圧を下げたりといった健康増進効果をさらに高めた新製品も相次ぎ登場している。

これから暑さ本番。たまにはアイスクリームやジュースもいいが、ひんやりのどを潤し胃腸にもやさしいヨーグルトはいかが。ダイエット食としてすでに根強い人気があるこの商品、最近は骨を強くしたり血圧を下げたりといった健康増進効果をさらに高めた新製品も相次ぎ登場している。

ヨーグルトは牛乳に乳酸菌を混ぜて発酵させたもの。ヨーグルトが健康にいいと言われる最大の理由について、この分野の第一人者である光岡知足・東京大学名誉教授は「この乳酸菌が、腸内にいる細菌のバランスを良くするため」と説明する。

人間の腸内には、一般に善玉菌や悪玉菌と呼ばれる腸内細菌が百兆個もいる。ヨーグルトを食べると、腸内の善玉菌が増えて悪玉菌が減る。善玉菌が増えると腸が活発に動くようになり、排便の回数が増えて便秘が改善する。便臭を減らす効果もある。

ヨーグルトにはこんな効果が

●おなかの調子を整える

●便通や便臭を改善する
●骨を強くする
●コレステロールを下げる
●血圧を下げる
●アトピー性皮膚炎を予防する
●免疫力を高める

●胃かいようの原因になるピロリ菌を減らす

(注)製品によってはこれらの効果が論文などで
報告されている、という趣旨

また牛乳が原料なのでカルシウムを多く含み、「骨粗しょう症など骨が気になる人にも良い食品」

(光岡名誉教授)だ。しかも魚や野菜

、牛乳のカルシウムより人体に吸収されやすい形態になっている。

薬事法の規定で、薬品ではないヨーグルトは医学的な効能を訴えることができない。一部の商品については「おなかの調子を整える」という表現ができる程度だ。ただ、欧州では薬のように「免疫力を高める」といったストレートな文言が使われる場合もあるほど。その“実力”は広く認められている。

最近登場している新製品は、この健康増進効果をさらに向上させている。明治乳業が昨年3月、胃かいようの原因とされるピロリ菌を減らす効果のある商品を売り出してヒットしたのが刺激になったようだ。

たとえば、全国酪農業協同組合連合会(全酪連)が5月に発売した新製品は、血圧を下げる微量成分(乳清ペプチド)を通常のヨーグルトよりも増やした。「血圧を上げる成分を作る酵素の働きを抑制する」(東北大学大学院の斎藤忠夫教授)という。

ほかにも、骨を強くする効果の高い微量成分(乳塩基性たんぱく質)を増量したヨーグルトや、生きたまま腸に定着しやすい乳酸菌で免疫力を高める効果のある製品、血液中の悪玉コレステロールを下げる効果のある製品など、健康に関心の高い人には興味津々のヨーグルトがこのところ相次いで登場している。

では、ヨーグルトを食べる際のコツをいくつか紹介しておこう。

まず第一に、ヨーグルトで健康を増進したいなら「毎日食べ続けること」(光岡名誉教授)。1週間から10日食べ続けると、善玉菌が増え、便通が改善することが実験などで確認されている。ところが食べるのをやめると元に戻っていく。

1日に食べる量の目安は100−200グラム。市販の小型ヨーグルト1、2個分だ。

次に、どうせ食べるなら夜ではなく朝食べる習慣をつけよう。空になった胃に乳酸菌を流し込めば活動がより活発になり、効果が出やすいと言われている。

注意したいのは、一般的なヨーグルトには脂肪分が約3%含まれ、糖分を含む商品もある点。「毎日食べると太るのでは」と心配な人は、低脂肪や無脂肪、あるいは低糖や無糖の商品を選ぶといい。
脂肪や糖分は、これまで触れたようなヨーグルトの効果を左右する成分ではない。入っていなくても、何の差し障りもない。(『日経ヘルス』編集部)

(2001.6.16 日本経済新聞)