肥満ホルモンが糖尿病を防ぐ

肥満ホルモンが糖尿病防ぐ 生理研がメカニズム解明

 体内の脂肪細胞から出る肥満ホルモン「レプチン」が血糖値を下げ糖尿病を防ぐ効用があるメカニズムを突き止め、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の箕越靖彦(みのこし・やすひこ)教授のグループが近く、米国の糖尿病学会の専門誌で発表する。

 箕越教授は「インスリンの投与をしなくても済む新しい糖尿病治療薬の開発につながる可能性がある」と話している。

 研究グループは正常なマウスにレプチンを投与する方法で実験。レプチンは脳の満腹中枢に作用し、食欲を抑制する「摂食調節神経」を活性化させるため、筋肉の糖の取り込みが促進されて血糖値の上昇を防ぐ効果があるという。

 レプチンは、脂肪組織が欠落するなどの「脂肪萎縮(いしゅく)性糖尿病」の特効薬として既に使用されているが、仕組みはこれまで明らかにされていなかった。新しいメカニズムを活用すれば、一般的な糖尿病でも新しい治療法の開発に結び付く可能性があるという。



2009.10.28 記事提供 共同通信社