東京大学の福永哲夫教授(運動生理学)が中高年世代に向けて提唱しているのが、「貯筋運動」。日ごろ、筋肉の繊維を鍛えて太くしておけば、病気で寝込んでも、筋肉の衰えを蓄えた筋肉で補える。日常生活にも復帰しやすくなる。

加えて、筋肉が付くと、エネルギーが効率よく消費されるようになる。つまり脂肪がかたまりにくくなるから、太りにくく、生活習慣病の予防にもなる。体を動かしても疲れにくくなるから、おのずと活動的になり、骨の強度も増すことになる。

福永教授のおすすめは「いすから立ち上がり、座る動作を10回繰り返す簡単な運動」。立ち上がるときに息を吐く。これを週に2、3回続けるだけで、太ももと腹部の筋肉が鍛えられる。体にもしものことが起きたときには、「貯金」などよりずっと頼りになるそうだ。

(2001.5.12 日本経済新聞)