ガンリスクでもある歯周病連鎖

歯周疾患患者は癌発症リスクが高い

 

歯周疾患がある患者は癌に罹患する可能性が高いことが、約5万人の追跡調査から示された。これは、英Imperial College Londonの研究者らによるもので、Lancet Oncology誌の2008年6月号に掲載された。この研究で歯周疾患を有する場合に発症リスクが高かったのは、肺癌、腎癌、膵癌、血液癌などであった。

 今回の研究は、40歳から75歳の男性約5万人を17年以上にわたって追跡調査し、癌の発症と歯周疾患に関連があるかを調べたもの。その結果、歯周疾患がある場合に何らかの癌を発症するリスクは、ない場合に比べて1.14倍に増加していた。

 中でも特に発症リスクが高かったのは、肺癌(1.36倍)、腎癌(1.49倍)、膵癌(1.54倍)、血液癌(1.30倍)であった。

 これまでの研究から、歯周疾患を有すると心疾患や糖尿病の発症リスクが高まることが知られている。様々な疾患を予防するという観点からも、歯周疾患を有する場合には、きちんとした治療を受けることが重要といえそうだ。

(小板橋 律子=日経メディカル別冊)

 

2008.5.29 記事提供 日経メディカルオンライン