肥満はボケる?

認知症の予防のためには体重に注意

肥満はアルツハイマー病のリスクを80%上昇させるが、低体重も認知症の可能性を押し上げる
Kelli Miller Stacy
WebMD Medical News

【5月8日】健康体重を維持している高齢者は、同時に知性と記憶を保護しているのかもしれない。

『Obesity Reviews』2008年5月号で発表された研究は、認知症を防止するという点で体重が重要であることを示している。ジョンズホプキンズ大学ブルームバーグ公衆衛生学部(ボルチモア)の研究者らが、肥満者は標準体重の人々と比較してアルツハイマー病のリスクが80%上昇していることを見出した。

しかし低体重でもそのような認知障害が発現する可能性が36%高くなる。

科学者らは肥満と認知症の関連について長い間、議論してきた。同誌に掲載された報告の情報によると、以前の知見は「種々雑多であり決定的ではなかった」。

今回の研究に関して、国際保健疫学講座の准教授Youfa Wang, MDをはじめとする研究者らは、様々な種類の認知症患者を含む1995 - 2007年の10件の国際的な研究(米国、フィンランド、スウェーデン、フランス、日本)のレビューと解析を行った。研究開始時の各被験者の年齢は40 - 80歳であり、3 - 36年間追跡調査を行った。

レビューした研究は、アルツハイマー病と、高血圧および高コレステロールと関連し脳卒中に起因することもある血管性認知症を含む、すべての種類の認知症を対象にしていた。

「我々のメタ解析から、男女とも肥満によって認知症の相対リスクが標準体重と比較して平均42%上昇したことが明らかになった」とWang博士はニュースリリースで述べている。

研究者らは、60歳より前に認知機能の低下が発現した人々、または10年以上追跡調査を行った研究において、肥満がアルツハイマー病と血管性認知症のリスクに特に重大な影響を及ぼすようであったと述べた。リスクは性別によってもわずかに異なるように思われた。

「肥満がリスクファクターになる可能性がより高かったのは、アルツハイマー病に関しては女性、血管性認知症については男性であった」とWang博士は述べている。

解析から、中心性肥満は血管性認知症のリスクを上昇させるようであったがアルツハイマー病についてはそうではなかったことも明らかになった。中心性肥満とは身体の中央部分の周りの脂肪の蓄積をいう。そのような危険な腹部の脂肪は高コレステロールおよび心臓発作リスクの上昇と関連づけられている。

アルツハイマー病は進行性の脳疾患であり、65歳以上の人々の認知症の最も一般的な原因である。アルツハイマー病協会によると、米国には約500万人の患者がいる。しかし米国のベビーブーム世代が老年に達する今後数年間でその数は大きく増加する可能性があると懸念されている。

研究著者らは、「正常な老化がアルツハイマー病に進行するのを防ぐ有望な方法」として、肥満率を低下させるための、より健康的な生活習慣を推奨している。

米国立衛生研究所によると、成人の3分の2が体重超過または肥満である。


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2008.5.8 記事提供 WebMD