糖尿病が進行すると腎臓の機能が低下する糖尿病性腎症になる。最初は無症状だが、次第に足などがむくみはじめ、息切れや胸の苦しさ、食欲不振を招く。

網膜症や神経障害と並ぶ糖尿病の3大合併症の1つ。糖尿病の3−4割の人が毛細血管が傷んでろ過機能が低下し発症する。体内の塩分を排出しにくくなり血圧が上昇、さらに腎臓に負担がかかって症状が悪化する。

尿にたんぱく質が出始めてから平均5−7年で人工透析が必要になる。毎年約3万人が新たに人工透析を始めるが、うち4割が糖尿病性腎症だ。

順天堂大学医学部の富野康日己教授は「腎症の発症や進行を防ぐには、なによりも血糖と血圧を下げることが大切」と指摘する。

平均的な血糖状態を示すヘモグロビンA1cの値が7%未満になるように血糖値を下げる。血圧を下げるには食塩やたんぱく質を控え1日30分の全身運動を心がけよう。早期治療ほど効果が高く、糖尿病患者を対象にした「微量アルブミン尿検査」を定期的に受けて兆候を見逃さないようにしたい。


糖尿病性腎症の主な症状

▽早期腎症期
尿中にアルブミンが少量でるが、尿検査では陰性。腎臓の機能は正常で、自覚症状はない
▽顕性腎症期
尿たんぱくが出て、足などもむくむ。血圧も高くなる
▽腎不全期貧血や皮膚のかゆみ、吐き気、息切れや動悸(どうき)がひどくなる



2007.1.28 日本経済新聞