腹痛や痔(じ)がなかなか治らない場合は、クローン病と呼ぶ自己免疫疾患の疑いがある。若いうちに発病することが多く全国で2万−3万人と増え続ける。食生活の欧米化などが影響していると言われている。

クローン病は口から肛(こう)門までの消化管に潰瘍(かいよう)ができる。身体の免疫システムが間違って自分の体を攻撃し、炎症を起こしてしまうためだ。潰瘍は大腸と小腸にできることが多いが、胃や十二指腸のほか、口にできることもある。同じ自己免疫疾患の潰瘍性大腸炎は、大腸だけに潰瘍ができる。

油っぽい食事を避けると症状は改善する。免疫抑制剤やステロイド剤も炎症を抑えるために使う。症状が重い場合は潰瘍のできた病巣部を切り取ることになる。

症状がいったん治まっても再発することが多い。進行を遅らせ、たとえ再発しても軽く済むよう治療を継続することが大切だ。

よくある痔だと勝手に思い込み肛門科を受診する人もいる。「適切な治療を迅速に受けるには、消化器内科に足を運ぶこと」と京都大学の千葉勉教授はアドバイスする。


<クローン病の症状例>

○痔がなかなか治らない
○腹痛
○下痢
○関節の痛み
○食欲不振
○腹部の膨満感

(人によって症状は異なる)


2006.10.15 日本経済新聞