昔結核を患ったことのある人が数十年たってから慢性的な呼吸不全や喀血(かっけつ)などに悩まされることがある。結核後遺症と呼ぶもので、特効薬が普及する前に手術などで治療した人に発病する。思い当たる症状がある人はすぐに診断を受けるようにしよう。

結核後遺症は、1950年代に治療薬が普及する以前に治療を受けた人に起きやすい。手術で肋骨(ろっこつ)を切ったり、胸腔(きょうくう)に空気を入れたりする治療法が主流だったからだ。

こうした治療法だと肺の容量が減少してしまい、慢性呼吸不全の原因になる。症状を緩和するため呼吸を楽にする酸素吸入やリハビリテーション、気管を切開しないでマスクを使う人工呼吸などの方法がある。

一度、結核になると「肺アスペルギルス症」などの感染症にもかかりやすくなる。病原体は肺にできた空洞に感染するからだ。肺炎や喀血を繰り返すので注意が必要。アスペルギルス菌は薬が効きにくいこともあり、肺を切り取る手術も行われる。

南横浜病院(横浜市)の大内基史医長は「薬で結核を治した人も感染症にかかる。放っておくと悪化するので早めに治療してほしい」と話す。


結核後遺症の可能性がある主な症状の例

・呼吸困難
・日中の眠気
・不眠
・微熱
・肺炎
・喀血(かっけつ)


2006.8.20 日本経済新聞