おたふくのように顔が大きく腫れ上がるおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)。昨年から今年にかけて流行期を迎え、学級閉鎖する小学校や幼稚園が全国で出ている。患者は子供が中心だが、大人が感染することもある。普通、1週間前後で症状は治まるが、合併症を引き起こすと厄介だ。

病原体は「ムンプスウイルス」。唾液(だえき)を通じた飛沫(ひまつ)感染で広がり、潜伏期間は2−3週間前後。感染年齢の中心は3−6歳で全体の60%を占める。耳の下からあごにかけて大きく腫れ上がり、発熱を伴うことが多い。大人がかかると症状が重くなりやすいと言われている。

心配なのは合併症だ。患者の5−8%程度が髄膜炎を併発、頭痛や嘔吐(おうと)などの症状が出る。思春期以降の男性は睾丸(こうがん)炎になることもある。

国立感染症研究所・感染症情報センターの多屋馨子室長は「片耳の場合が多いが難聴を併発すると、聴力が戻らなくなるので注意が必要」と話す。

予防にはワクチンが有効だ。医療機関で手軽に受けられるため、心配な人は早めに受けておいたほうがよいだろう。




おたふくかぜの主な合併症

・髄膜炎
・髄膜脳炎
・睾丸(こうがん)炎
・卵巣炎
・難聴
・膵(すい)炎



2006.6.11 日本経済新聞