性感染症の代表格だった淋病(りんびょう)が、20代中心の若い人の間で再び増えている。特に女性は感染初期の段階では症状に乏しい。放っておくと、排尿時に強い痛みを伴ったり、将来の不妊の原因にもなったりするので、早期の診察・治療が欠かせない。

淋病は淋菌が感染して発症する。性行為以外でうつることはほとんどない。男性だと、感染して1週間前後で尿道に炎症が起き、痛みや膿み(うみ)などの症状が出る。女性も膣(ちつ)の上の子宮の頚管(けいかん)に炎症が起きるが、自覚症状がないことが多い。

尿やおりものを検査して診断する。抗生物質ペニシリンを経口投与して治療するが、耐性を持った淋菌が増えており、患者増の一因にもなっている。このため、数年前から抗菌薬による注射が、新たな標準治療に加わった。

最近は、口内性交によってうつることも多い。感染を防ぐには、コンドームを使うしかない。東クリニック(東京・渋谷)の東哲徳院長は「淋病は、予防法も特効薬もある病気。日ごろから正しい知識を身につけてほしい」と話す。

淋菌感染症の主な症状
男性 排尿時の灼熱感やかゆみ、うみ
女性 おりものの増加
直腸感染 肛門のかゆみや出血
のどの感染 軽いのどの痛みや腫れ

2006.3.5 日本経済新聞