鳥を飼っている人が突然39度以上の高熱を出したら、肺炎の一種であるオウム病の可能性がある。動物から人間に病気がうつる人畜共通感染症で、免疫力が低下した高齢者などが特にかかりやすい。重症化しやすいので、早めに適切な治療を受けたい。

オウム病の原因は、オウム病クラミジアという微生物。インコやオウム、ハトなどが感染していることが多い。鳥の健康状態が次第に弱っていくると糞(ふん)に菌が混じるようになり、人間がこの糞を吸い込むと感染する。

症状は高熱やせきのほか、だるさや筋肉痛、関節痛など。放置しておくと約2割が死亡する。一般的な肺炎治療に使うペニシリン系抗生物質は効かない。鳥を飼っているなどオウム病の可能性が高い人は、血清検査の結果を待たず治療を始めることになる。入院しテトラサイクリン系の点滴を打つとよく効く。

症例数は年間40−50例だが、診断がついていないケースが、その数倍あるといわれる。国立感染症研究所の岸本寿男室長は「薬を誤ると治療が長引く。発病前に鳥と接触した覚えのある人は、必ずオウム病を疑うこと」と言う。


オウム病感染を防ぐポイント

鳥に口移しで餌を与えるなど、必要以上の接触は避ける
鳥が弱ったら獣医にみせ、治療薬入りの餌を1週間程度与える
羽毛や糞はこまめに掃除する


2006.2.26 日本経済新聞