世界で最も売れている大衆薬という解熱鎮痛剤が日本でも9月に発売された。米医薬大手のジョンソン・エンド・ジョンソンの「タイレノール」だ。ライバル商品の名前を使った“比較広告”を電車内などで見かけた人もいるかも知れない。

有効成分はアセトアミノフェン。中枢神経に働いて頭痛などの痛みを和らげ、熱を冷ますため、アルピリン製剤に比べて胃にやさしく、空腹時も服用でき、妊婦や子供も安心して使える。と言っても特別 な薬剤ではなく、風邪薬の成分の1つとしては従来から一般的だったし、解熱鎮痛剤にもこれを配合したものがすでにある。

過剰に服用すると肝機能障害などを引き起こす恐れがあり、埼玉 県の保険金殺人では、アセトアミノフェンを含んだ風邪薬が「凶器」に使われた。鎮痛剤と風邪薬を一緒に飲むことによる過剰摂取は避けたい。

(2000.10.21日本経済新聞)