腸で吸収率の高い乳製品
ダイエット 月経前症候群予防



カルシウムが骨の健康維持に欠かせないことは広く知られているが、最近、「肥満気味の人がカルシウムを多くとると、体脂肪が減る」といった新しい効能が報じられて、注目を集めている。

カルシウムは日本人が不足しがちなミネラルだ。1日の摂取目標量は成人で600−650ミリグラムだが、平均摂取量は580ミリグラムと目標量に及ばない。一番少ない20代の女性では457ミリグラムしかとれていない。

体内のカルシウムの99%は骨に含まれるが、食事で十分にとれず、血液中のカルシウムが減ると、「副甲状腺ホルモンが増えて骨を溶かし、カルシウムを血中に送り出す」とミネラルの働きに詳しい福井薬局(埼玉県川口市)の福井透代表が説明する。

つまり、カルシウム摂取量が足りないと、骨が弱くなる危険性が増す。閉経後、急激に骨が弱くなる女性の場合、骨粗しょう症を招くおそれもある。

さらに、東京大学大学院助教授の福岡秀興医師によると「カルシウム不足で副甲状腺ホルモンが増えると、月経前にイライラやむくみといった不調が出る月経前症候群(PMS)の原因になる」

このようにカルシウムは、特に女性が健やかな人生を送るために欠かせないミネラルだ。逆に、十分なカルシウムをとり続ければ、閉経後でも骨密度の低下が抑えられるという報告がある。そして、「PMS症状の改善にも効果がある」(福岡助教授)。

たっぷりカルシウムをとると、体脂肪、体重、ウエストサイズが減る――。今年3月、米国でこのようなカルシウムの新しい効能についての研究が発表され、話題を集めた。カルシウムはダイエットにもいいというのだ。

この研究では、肥満の男女34人を2グループに分け、一方は1日に食事で400−500ミリグラムのカルシウムをとり、もう一方は1日に1100ミリグラムのカルシウムをとった。後者は毎日500グラムのヨーグルトを食べることで、カルシウム摂取量が600ミリグラム多くなるようにした。

実験参加者は、全員1日の摂取カロリーを500キロカロリー減らしたため、12週間後にはどちらのグループでも体重や体脂肪の量、ウエストサイズが減ったが、カルシウムを多くとったグループの方が、明らかに減り幅が大きかった。

この理由について、乳製品の機能性を研究する大妻女子大学の青江誠一郎助教授は「体内に十分なカルシウムがあると、脂肪の合成が抑えられ、分解が促進されるから」と分析する。

さらに、カルシウムの摂取量が多い人ほど、便に出る脂肪の量が多いことも確認されている。食事でとった脂肪がカルシウムに付着して排出されるためだ。

ただし「ある程度総摂取カロリーを減らさないと、カルシウムのダイエット効果が表れない」と、今回の研究を行った米テネシー大学のマイケル・ゼメル教授は指摘する。

カルシウムが手軽に多くとれる食品には表のようなものがあるが、ゼメル教授が研究に用いたヨーグルトは利点が多い。

まず、ヨーグルトや牛乳、チーズといった乳製品に含まれるカルシウムは、小魚や野菜に比べて腸での吸収率が高い。また「牛乳でお腹がゴロゴロする人がいるが、ヨーグルトだと起こりにくくなる」(青江助教授)。乳酸菌が腸の調子を整える効果も期待できる。「低脂肪」「低糖」と表示された商品を選べば、カロリー面でも心配がない。

カルシウムが多く、骨の破壊を抑える大豆イソフラボンを含む豆腐などの大豆加工食品もお薦めだ。

通常の食事に150−200グラムほどのヨーグルトか豆腐を加えれば、健康維持に必要な1日600ミリグラム以上のカルシウムがとれる。

ただし、妊娠中の人は1日600ミリグラムを目安にして、過度にカルシウムをとらないようにしたい。「妊娠中はカルシウムの吸収率が高まると同時に、尿に排出される分も増え、その影響で尿路結石になる危険性が高まる」(福岡助教授)からだ。
(日経ヘルス編集部)


カルシウムが手軽にとれる食品の例
食品名
1回に食べる目安量
カルシウム量
ヨーグルト 2分の1カップ(105g)
126mg
牛乳(普通) 1カップ(210g)

231

プロセスチーズ 1cm厚さ(20g)
166
うなぎ(かば焼き) 1串(100g)
150
干しえび

大さじ1(8g)

568
小松菜 4分の1束(80g)
116
モロヘイヤ

2分の1袋(50g)

130
豆腐(木綿) 2分の1丁(150g)
180
がんもどき 中1個(80g)
216

(注)ベターホーム協会編の食品成分表(五訂)をもとに、日経ヘルス編集部が作成


カルシウムに期待される3つの効果

@骨の健康維持
積極的にカルシウムをとり続けると、女性の閉経後に骨粗しょう症を予防する

A体脂肪減少
食事から十分にカルシウムをとると体脂肪や体重が減る可能性がある

B月経前症候群(PMS)の改善
月経前になるとイライラ、憂鬱感といった不調が出る月経前症候群を改善

(注)「体脂肪減少」は、最近研究結果が発表されて注目を集めている効能。カルシウムは特に女性の健康維持には欠かせない成分だ





2005.5.14 日本経済新聞