食物繊維・カルシウム中心に
量や時間帯に注意

仕事が一段落したときにおやつを食べると、疲労回復気分転換ができる。しかし、食事代わりにしてしまったり、おやつで太ってしまったりしては本末転倒。大人のおやつの食べ方、選び方を考えてみた。


育ち盛りの子供のおやつには、3度の食事で十分に摂取しにくい栄養を補う目的がある。大人にとっても、口を動かすことで眠気が取れる。仕事の疲労感が薄れ、リラックスする。職場の同僚と分け合うことでコミュニケーションも生まれるだろう。

扶桑社Cazネット調査(有効回答数966人、平均年齢26.4歳)によると、会社でおやつを食べる人は全体の約8割。出張の土産のほか、昼食ついでにコンビニエンスストアなどで新商品を買うケースが多いようだ。よく食べるおやつの1位はチョコレート菓子、2位あめ・キャラメル、3位ガム。
一方で、「会社で食べるおやつが原因で太った」という人は3人に1人、平均3.4キロ増。食べる時間もおやつの時間の15−17時に加え、残業中の18−20時という人もいる。子供とは状況が異なるから、量と質を考えた大人の賢い間食にしよう。

まず、自分が間食してもいい適量を考えよう。太る理由は、日々の消費エネルギーを食事などの摂取エネルギーが上回ることが大きい。

1日の総消費エネルギーは、呼吸など生きるために必要な基礎代謝量と、運動や日常生活で使う生活活動代謝量の合計。運動しないなら、摂取エネルギーを基礎代謝量プラスαに収めるといい。

基礎代謝量を正確に計るには専門の器具が必要なので、ここでは簡易式で算出してみる(表)。体重1キロ当たりのエネルギー消費量(25−30キロカロリー)で計算すると、身長157センチの場合、約1355−1626キロカロリー。代謝のいい筋肉質の人は大きい値を、そうでない人は小さい値を参考にしよう。

摂取エネルギーは市販のカロリーブックなどを見て算出できる。朝にバタートーストとコーヒー、昼にバジリコ・スパゲッティに付け合せのサラダ、夜に焼き魚定食とすると、だいたい1400キロカロリー程度。運動していないなら、自分が食べてもいい間食の量は、基礎代謝量プラスαから食事による摂取エネルギーを差し引いた範囲内にとどめたい。女子栄養大学栄養クリニックの蒲池桂子主任は「おやつは、あくまでつなぎだから200キロカロリー程度が目安」と指摘する。散歩や階段の利用で消費できる範囲が肝心だ。

では、何を選べばいいのか。ビタミンやミネラルの不足も、脂肪やたんぱく質、炭水化物をエネルギーとして利用せず、脂肪として貯えてしまう要因だ。一般に不足しがちな栄養成分はたんぱく質やカルシウム、食物繊維。「いずれも、毎日消費されるので多いほうが好ましい」(ダイエットコミュニケーションズ代表の荒牧麻子さん)

たんぱく質は卵や乳製品、魚や肉などに、カルシウムや食物繊維は果物、海草などに多い。コンビにで買えるおすすめのおやつは、プレーンヨーグルトや野菜ジュース、ドライフルーツ、ナッツなど。

「ナッツはストレスでイライラするときや生理中に」(蒲池さん)。ただし、多いと吹き出物が出る可能性もある。食物繊維不足で便秘などに悩むなら、ドライフルーツなど。クッキーでもふすま入りなら補える。

どんなタイミングがいいのか。「おやつの時間には水分と200キロカロリー程度の好きなおやつを、残業のときはたんぱく質を補うものや吸収しやすいゼリー飲料などにして、野菜を中心とした夕食につなげては」と荒牧さんは提案する。

アタマを使うとブドウ糖が消費されるので、ボーッとするときに甘いものは有効。ただし、ジュースを一気に飲むと一時的に血糖値が上昇するので、水とジュースを3対1の割合にしたい。「ダラダラ食べるのも血糖値を上げ続けることになり、ビタミン類の不足が重なると、疲れ物質の乳酸として体内に残ってしまう」(蒲池さん)

おやつを考えることは、食生活全体を見直す第一歩になりそうだ。


簡易式による基礎代謝量の算出方法

・まず基準体重を算出
  身長(m)×身長(m)×22=標準体重(kg)
・続いて基礎代謝を算出
  算出した標準体重(kg)×体重1kg当たり
  エネル消費量(25〜30kcal)=基礎代謝量(kcal)
※例えば身長157cmの人の場合の基礎代謝量
  1.57×1.57×22=54.2(kg)
  54.2×25=1355(kcal)
  54.2×30=1626(kcal)
  1355〜1625(kcal)

おやつ選びのポイント

■無気力、うつ、筋肉量の低下などを招くので、1200キロカロリー以上は3度の食事で
■お茶かコーヒーを一緒に
■特定の栄養素を強化したものなど、毎日同じおやつを続けるのは避ける
■おすすめはドライフルーツやナッツ、プレーンヨーグルトなど
■クッキーでもふすま入りや食物繊維が豊富なものを
■菓子パンはカロリーが高いので要注意
■残業などの前はたんぱく質を補える食品か、吸収がよいものを
コンビニで買えるものとしてはチーズ、ソーセージ、ゆで卵、肉まん、鳥のから揚げなど。ゼリー飲料は吸収がいい
■栄養成分表示も見て選ぶ

栄養成分 1本(標準11.5g)当たり
エネルギ゛ー
48kcal
たんぱく質
0.9g
脂質
4.0g
糖質
3.2g
食物繊維
2.6g
ナトリウム
13mg
糖類
0g
ショ糖
0g
乳糖
0g
 

市販のチョコレート菓子の表示。これを見れば適量や補える栄養素がわかる

2005.4.16 日本経済新聞