洗顔し過ぎると乾燥肌に
保湿成分を守りキメ整える効果

夏なのに肌が乾燥する……。そんな女性が増えているようだ。原因のひとつが顔の洗いすぎ。専門医が薦めるのが洗い過ぎをやめ基礎化粧品を使わない日を設けることだ。これを「肌断食(はだだんじき)」と呼んでいる。

夏でも、顔の肌が乾燥する人が増えているという。おでこから鼻筋にかけてのTゾーンはベタついていても、口や目の周りが乾燥しやすい。

湿度が高い夏でも肌が乾燥するのは、「エアコンが効いた室内は空気が乾燥しているので肌も乾燥しがち。また、最近は過剰なスキンケアが原因の乾燥肌が目立つ。メーク落としや洗顔のし過ぎ、基礎化粧品の使い過ぎが状態を悪くしている」と、北里研究所病院(東京・港)美容医学センターの形成外科医、宇津木龍一センター長。

過剰な皮脂減らす
夏は汗やベタベタ感が気になる。ところが、しっかり洗顔し過ぎると、肌の保湿機能(セラミドや天然保湿因子)も汚れと一緒に洗い流され、肌が乾燥しやすくなる。

また、乾燥対策と保湿成分入りの化粧品を使いすぎると、「本来古くなってはがれる皮膚の角質層が肌に残り、肌の生まれ変わりを妨げる」(宇津木センター長)という。さらに、「洗顔で皮脂を取り過ぎると、分泌される皮脂がかえって増える」と、セキひふ科クリニック(富山市)の皮膚科医、関太輔院長も過剰洗顔の弊害を指摘する。

顔の洗い過ぎ、保湿ケアのし過ぎによる肌の乾燥を防ぐため、宇津木センター長が提唱するのが「メーク落としや洗顔などの肌の手入れを2、3日間中断すること」。これが「肌断食」だ。断食は食事を一時的に断って体調を整える。これを肌に応用し、肌に栄養を与えずに肌を整える。

「肌断食をすると、肌の保湿成分が流れ出ず、不要な角質がはがれて皮膚が自然と新しくなり、肌が本来の能力を発揮して乾燥肌を防ぐ」と宇津木センター長。乾燥肌の改善だけでなく、過剰な皮脂を減らす、毛穴の黒ずみを取るといった効果も期待できる。

肌断食を行うのは、週末や夏休みがいい。薄めのメークで数日間過ごすからだ。

週末の場合、土曜朝から月曜朝まで、まる2日間で行う。まず、1日目(土曜)の朝は普段どおりのスキンケアをして、メークを薄めにする。

夜は、メーク落としと洗顔をシンプルにする。クレンジング剤と洗顔剤を両方使っている人が多いが、洗い過ぎにつながりやすい。せっけんを泡立てて軽く洗顔するか、乳液状のクレンジング剤を使う洗顔法のどちらかを行う。洗い上がりに皮脂が残っている程度を目指そう。

洗顔後は肌に何も塗らない。化粧水、乳液、美容液などを使わないわけだ。もし、がさがさと角質が浮き上がるところがあれば、そこに白色ワセリンやクリームを少量つけるといい。「顔がつっぱる気がしても、化粧水はつけない」(宇津木センター長)で、我慢してみよう。

2日目(日曜)の朝は、ぬるま湯で顔を洗うだけ。ここでも化粧水や乳液は使わない。メークは薄めに。2日目の夜も1日目と同じ洗顔法で洗い、化粧品は一切使わない。

そして、3日目(月曜)の朝。ぬるま湯で洗顔したら、いつもの化粧水や乳液を使いメークしてみよう。「化粧ののりが良くなった」と感じる人が多いはずだ。

多くの女性に肌断食を指導してきた宇津木センター長は「何もしないと肌がつっぱるので怖いという人もいるが、肌断食をするとキメが整う。マイクロスコープでも確認している」と話す。

粉ふかずテカらず。
体験した女性は、「長年悩んでいた乾燥による粉ふき肌が解消した」(Cさん、36歳)、「肌断食をきっかけに洗顔法をシンプルにしたら、顔の皮脂が減り、Tゾーンのテカリが落ち着いた」(Sさん、27歳)と好評だ。

肌断食を体験した後は、洗顔をできるだけシンプルにして洗い過ぎをやめ、使う基礎化粧品の数も減らしてみるといい。なお、アトピー性皮膚炎や乾皮症など、肌の保護機能が低下する病気の人は、肌断食は行わない方がいい。
(『日経ヘルス』編集部)

肌断食はこんなときに行う
・肌の乾燥がひどい    ・肌表面がかさつく
・Tゾーンの皮脂が多く、てかる   ・毛穴が黒ずんでいる

これが週末肌断食のプログラム例
朝の洗顔 ぬるま湯で洗顔
夜のうちに肌に保湿成分が回復するので、それを奪わないようにぬるま湯でできるだけやさしく洗う。化粧水、乳液は、朝も我慢して使わない
朝のメーク 薄めにメークする
強いクレンジング剤を使わなくても、落ちるようにパウダリーファンデーションなどで薄めにメークする
夜の洗顔 せっけんの泡で優しくメーク落とし
アイメークを落とした後に、顔を濡らして、せっけんをよく泡立てて、その泡を顔になじませて、ぬるま湯で優しくすすぐ。メークが落ちない部分は、もう一度泡で洗う。乳液状のクレンジング剤を使う場合は、せっけんは使わない
夜の手入れ いつもの化粧水・乳液・美容液は使わない
洗顔後は化粧水・乳液・美容液などの手入れはしない。角質が浮き上がってがさがさしているところがあれば、白色ワセリンやクリームをつける
2004.7.24 日本経済新聞