チェアヨガ 基礎編 腰掛けながら無理なく安全に
実践編 伸ばしてひねって、リラックス


チェアヨガ 基礎編 腰掛けながら無理なく安全に

 女性を中心に、自分の心と体を見つめるヨガが人気だ。その一つ、チェアヨガは、椅子さえあればマットなどの専用道具がなくてもできる。ヨガ教室を主催するスタジオ・ヨギー(本社・東京都目黒区)公認インストラクターの資格を持つ、JCHO東京新宿メディカルセンターの石井正則・耳鼻咽喉(いんこう)科部長に基本を教えてもらった。

 「チェアヨガは、椅子を支えに使うことで、体力や筋力がなくても無理なく安全にできます」と石井部長。お年寄りや、膝・足首をけがしている人でも取り組みやすい。

 例えば骨粗しょう症や転倒の予防には、体を支える抗重力筋を鍛える必要がある。有効な運動の一つにスクワットが挙げられるが、一から行うには負担が大きい。チェアヨガであれば、腕を前へ伸ばし、座面からお尻を数秒浮かせる動作を5回ほど繰り返すだけで同じ効果が得られるという。

 チェアヨガをするのに必要なのは、安定感のある椅子だけ。滑るキャスター付きは使用しない。始めるにあたり注意したいのが(1)常に呼吸を意識する(2)胸を張る(3)その日の体調を意識する――の3点。「無理は禁物。けがのもとです。ポーズを取る際は心地よいところで止めましょう」

 椅子の座り方は、両手を膝の上に乗せ、座面の縁にももの真ん中あたりがくるようにする。足の間を握り拳1個〜1個半分空ける。足の内側は平行にし、膝を90度に曲げた状態にする。

 まずは心身を落ち着かせるため、呼吸法から始める。鼻から吸って、鼻から吐く腹式呼吸が基本。3秒間吸って3秒間で吐く。次に3秒間吸って6秒間で吐く。この呼吸に慣れたら3秒間吸って、3秒間息を止め、6秒間で吐く。これを3回ほど繰り返す。

 「息を止めることで、自律神経のうち、副交感神経が働き、リラックス効果が高まります」と石井部長。この呼吸法は、大事な場面で緊張感を和らげる際にも役立てることができる。

 日々の生活でストレスを感じると、緊張時に作用する交感神経の方が優位になる。呼吸とともに、ヨガの後屈系ポーズ→前屈系ポーズ→瞑想(めいそう)の順で行うと、リラックス時に作用する副交感神経を活性化できるという。【池乗有衣】

引用:毎日新聞社 2014年6月10日(火)


チェアヨガ 実践編 伸ばしてひねって、リラックス

 椅子を支えに無理なく安全に、心身を整えられるチェアヨガ。ヨガ教室を主催するスタジオ・ヨギー(本社・東京都目黒区)公認インストラクターの資格を持つ、JCHO東京新宿メディカルセンターの石井正則・耳鼻咽喉(いんこう)科部長に、基本的なポーズを教えてもらった。

 まず、胸の中心で両手を合わせる。息を吸い胸を張り、腕を上に伸ばす。息を吐きながら前屈へ。この際、手は膝の上に置くか、足首を握る。吸って頭だけ持ち上げ、吐いて再び前屈する。吸って胸を張り、腰を反らせる。吐きながら上体を起こす。吸って腕を上へ伸ばし、吐きながら腕を下ろし、両手を合わせ胸の中心で止める。これを3〜5回する。

 石井部長は「呼吸を忘れてしまうと、ポーズを取ることがきつくなるので要注意」と指摘する。

 続いて体側を伸ばすポーズ。「左側の脇腹が伸びるのを感じましょう」。お尻を右にずらし座る。左足は90度に曲げ、右足は伸ばす。吸って左手は天井に伸ばし、吐きながら右手は右太ももの上を滑らせる。吸って体を起こし、吐いて手を戻す。同様に右側も行う。

 次はひねりのポーズ。吸って胸を張る。左手は、丸い椅子の場合は座面の後ろ、背もたれのある椅子の場合は背もたれを握る。吐きながら左膝を右手の甲で押し、腰→へそ→肩→首の順でひねっていく。これを3〜5回繰り返し、ひねりを段々と強くする。「小気味よく汗が出ると思います」と石井部長。右側も同様に行う。

 クールダウンへ。両手を胸の中心で合わせた後、吸って腕を上へ伸ばし、吐いて前屈。そこで呼吸をゆっくり続ける。最後に体を動かし興奮させた交感神経を、副交感神経へ導きリラックス効果を高めるため瞑想(めいそう)する。「チェアヨガ30分に対し、最低3分は必要です」という。椅子から下りて床の上に横たわり、目を閉じて、両手両足を軽く広げて全身の力を抜き、自然な呼吸をする。

 石井部長は「ヨガは治療行為ではありませんが、姿勢の改善やストレスの軽減に役立ちます」とアドバイスする。【池乗有衣】

引用:毎日新聞社 2014年6月11日(水)

2014年6月20日更新