記憶力や思考力低下が早い高齢者ほどは癌死リスクが低下


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思考力低下で癌死リスク30%減【米国神経学会】

記憶力や思考力低下が早い高齢者ほどは癌死リスクが低下

 米国神経学会(AAN)は、認知症ではないが記憶力や思考力に問題が生じている高齢者は、問題が生じていない者より癌で死亡するリスクが低下する可能性があることを示した論文を紹介した。本論文は、4月 9日配信のNeurology誌オンライン版に掲載された。

 本研究は、研究開始時点で認知症のないスペイン在住65歳以上の高齢者2627人を対象として実施。試験開始時と3年後に記憶力と思考力をテストし、平均13年間にわたり追跡観察した。参加者をテストスコアの低下が早かった者からなる群、改善された者からなる群、その中間の者からなる群に割り付けた。

 試験期間中に死亡した1003人のうち、思考力低下が早かった者が339人(34%)、残る2群の者は664人(66%)であった。癌のため死亡した者が占める割合は、思考力低下が早かった者からなる群では21%であったのに対し、残る2群では29%であり、喫煙、糖尿病、および心疾患といった因子で結果を調整しても、思考力低下が早かった者は癌で死亡する可能性が30%少なかった。

 本論文の著者であるJulian Benito-Leon氏「アルツハイマー病患者は癌を発症する可能性が低くなることは複数研究で提唱されているが、これを説明付ける理由は分かっていない。異常な細胞死を引き起こす疾患と異常な細胞増殖を引き起こす疾患との関連性を理解する必要がある。そうすれば、認知症と癌を併発する高齢者が増えている状況下、両疾患を深く理解した上で治療できると考えられる」と述べている。

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2014年4月24日 提供:米国学会短信