「子宮は精子殺す」、通説が覆る
精漿は「授精抑制」ではなく「保護」、男性不妊に関連か


ミクロの世界の50億年の進化の中での攻防とバランス
多くの知恵というか、防御機能が確立されて、命は作られてきてるんだね。

国立成育医療研究センターは3月4日、子宮内には精子を殺す因子があり、精液内の精漿タンパク質「Seminal vesicle secretion 2(SVS2)」がこの因子から精子を保護していることを発見したと報告した。子宮内での攻防を勝ち抜いた精子のみが授精可能となる仕組みがあると考えられ、「精漿には授精能を抑制する因子がある」という従来の知見が覆った。これはマウスを用いた実験で、生殖・細胞医療研究部の河野菜摘子氏ら研究グループによる成果。

研究グループは、精漿に多量に含まれている精嚢分泌タンパク質「SVS2」に着目し、この分泌能を欠損させたマウスを作製。体外受精では野生型マウスと同等の受精率を示したものの、自然交配では低下し、ほとんど産仔が得られなかった。SVS2を加えると受精率が戻ったことから、「SVS2は体内受精に必須の因子」と考えられた。

次に、研究グループはSVS2の機能を検討した。SVS2がないと子宮内で精子の細胞膜が破壊されていることが分かった。子宮内液を取り出して精子に加えると、死滅して凝集した。この結果から「子宮内には精子を殺す液性因子があり、SVS2が精子を保護している」と結論。「ヒトではsemenogelin-I、IIがマウスSVS2に相当し、男性不妊の一因に関わっているのではないか」と述べている。

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2014年3月11日 提供:国立成育医療研究センター