悪玉油を段階的禁止へ 米当局、食品業界に要請 
生活習慣病のリスク配慮

  

オメガ6、が多い安い植物油、細胞膜の脂質での細胞膜機能障害の影響も、オメガ3系の油脂でバランスを取りましょう。

 【ワシントン共同=吉村敬介】米食品医薬品局(FDA)は7日、揚げ物用の調理油などに含まれ、肥満や心疾患との関連が指摘されるトランス脂肪酸が食品に含まれないように段階的に禁止する方針を打ち出した。「食品に使う上で安全とは認められない」と判断した。食品業界に要請する。禁止の期限は明示していないが、外食産業などに影響が出そうだ。

 トランス脂肪酸は油の加工過程や加熱処理などでできる。血中の悪玉コレステロールを増やし、摂取を続けると動脈硬化や心筋梗塞など生活習慣病のリスクを高めるとの研究結果があり、世界的に使用量を制限する動きが出ている。

 日本の食品安全委員会によると、日本人は諸外国より摂取量が少なく、世界保健機関(WHO)の勧告基準を下回っている。脂質に偏った食事をしている人は注意が必要だが、通常の食生活では健康への影響は小さいとして、食品の表示義務はないのが現状だ。

 FDAは今後の規制により「米国内で年間2万件の心臓発作を予防し、7千人の死者を減らせる」とみている。

 米国は2006年に食品中の含有量表示を義務化。ニューヨーク市やカリフォルニア州は飲食店での使用を禁止しているほか、米ファストフード大手のマクドナルドやケンタッキー・フライド・チキンなども全米規模で使用中止を表明した。

 FDAによると、米国人の1日の摂取量は03年の4・6グラムから12年に1グラムに減少。ただ電子レンジで調理するポップコーンやデザート食品、冷凍ピザ、マーガリン、コーヒー用クリームなど加工食品の一部にまだ含まれている。

※トランス脂肪酸

 脂肪を構成する成分の一種。牛肉や乳製品の中には天然のトランス脂肪酸が微量に含まれるほか、油を加熱する過程などで人工的にできる。マーガリンや揚げ物などに含まれている。消費者庁によると、日本人1日当たりの平均摂取量は総エネルギー摂取量の0・6%程度で、1%未満とするよう求める世界保健機関(WHO)の勧告基準より少ない。日本では表示義務はないが、同庁はトランス脂肪酸に関する情報を自主的に開示するよう食品事業者に要請している。(共同)

2013年11月8日 提供:共同通信社