最近増えている、アタマジラミ対処法は?
  

アタマジラミ:対処法は

 頭に寄生して激しいかゆみを起こすアタマジラミ。戦後、殺虫剤DDTで駆除されたが、最近、アタマジラミに関する相談が再び増えている。運動会シーズンの秋は、感染がピークを迎える時期。対処法をまとめた。

 ●感染ピークは秋

 アタマジラミは人間の頭部にだけ寄生する。飛んだりはねたりできず、接触によって他人にうつる。

 このため、頭をくっつけて遊んだり寝たりする機会の多い、幼い子どもの感染が多い。東京都には2009〜11年度、毎年700件を超す相談が寄せられているが、その9割が小学生以下の子どもだったという。寝具やタオルを通してうつる場合もあり、家族の誰かが感染すれば、親やきょうだいにもうつりやすい。

 一年中感染するが、駆除薬の注文や都への相談が特に多いのが、6月と10〜12月。運動会の練習などで、子ども同士が体を接触させる機会が増え、感染しやすくなるためとみられている。

 シラミ駆除薬を販売するダンヘルスケア(大阪市)によると、1人にうつるアタマジラミは、多くの場合数匹程度。感染後かゆみが出始めるまでには約1カ月かかるというが、シラミを知らない世代が親になり、子どもの感染に気づくのが遅れることも多い。

 感染に気づくにはどうしたら良いのか。アタマジラミの成虫を発見するのは難しいので、卵を見つけるようにしよう。耳の後ろや後頭部、襟足などの髪に、しっかり付着していることが多い。フケや皮脂のようにも見えるが、簡単には取れないのが特徴だ。

 ●薬剤とくしで駆除

 感染が分かったらすぐに駆除しよう。何も対処しないで自然に治ることはないからだ。

 最も一般的な駆除方法は、ピレスロイド系殺虫剤・フェノトリンを0・4%含む医薬品(商品名スミスリン)のシャンプーを塗り、5分ほど置いて洗い流すこと。一般薬局で買え、乳児にも使えるが、価格は1本2000〜3000円もする。

 また、九段坂病院皮膚科(東京都千代田区)の大滝倫子(のりこ)医師は「日本では駆除薬が一つしか認可されていないため、耐性を持ったシラミが増えている」とも指摘する。

 殺虫剤に抵抗があるなら、専用の目の細かいすきぐしを使い、丁寧に成虫・幼虫や卵をすき取る方法もある。すきぐしは通信販売などで3000円前後で購入できるが、自治体によっては貸し出しを行っているところもある。

 治るまでは、洗髪は大人がしっかり行おう。子ども自身に洗わせてはいけない。

 ●家族全員で治療を

 せっかく1人を治療しても、家族同士でうつし合っては意味がない。タオルや寝具の共有はしないように。ダンヘルスケア社の担当者は「洗濯だけでは生き残る可能性もある。60度以上のお湯に5分以上つけてから洗濯するか、乾燥機を使ってほしい」と勧める。

 さらに大滝医師は「子どもにシラミが見つかったら、家族も全員で治療を」と、家族での受診を促す。

 感染は通常、子ども集団の中で発生するため、保育園・幼稚園や学校単位で注意を払い、感染した子を見つけるとともに、感染者を一斉に治療することが大切だ。

 アタマジラミは、不潔にしていたから感染するというものではない。大滝医師は「かかった子が学校やプールを休む必要はありません。また、感染でいじめが起きるようなことは、あってはなりません」と訴えている。【田村佳子】

2013年9月15日 提供:毎日新聞社