小型サル、盲腸で"味見" 発酵や細菌コントロールか
 

 南米にすむ小型のサル「マーモセット」は、舌と同じくらい敏感に盲腸で味を感知していることを京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)と岐阜大などのチームが明らかにし、英科学誌電子版に10日発表した。

 マーモセットは樹液や樹脂を食べ、盲腸で発酵させて栄養を取る特殊な食性を持つ。霊長研の今井啓雄(いまい・ひろお)准教授は「盲腸の味覚を使い、消化しにくい樹液や樹脂の発酵の度合いや発酵に必要な腸内細菌をコントロールしているのかもしれない」としている。

 ヒトやマウスなどが胃や小腸、大腸で味を感知し、ホルモンを分泌するなどして食欲や血糖値を調整していることは分かっているが、盲腸では初めて。

 チームは、マーモセットの一種「コモンマーモセット」の盲腸の細胞を分析。苦味を感じる受け皿となるタンパク質「TAS2R」が検出されたほか、味覚を伝達するタンパク質が含まれることを確かめた。

 ニホンザルやヒヒなどでも調べたが、これらのタンパク質は盲腸にはほとんど見られなかった。

 今井准教授は「舌以外にある味覚がどんな役割を果たしているか、詳しく解明する手掛かりになる」としている。

※英科学誌はバイオロジーレターズ

2013年7月10日 提供:共同通信社