感染症:横浜でカラス20羽死ぬ 鳥インフル検出せず
 

 横浜市中区の繁華街で30日朝、カラスが死んでいるのが相次いで見つかった。死骸は計20羽に上り、市によると鳥インフルエンザの簡易検査でウイルスは検出されなかった。神奈川県警は毒物検査をして、死因を調べている。

 県警によると午前7時55分ごろ、加賀町署に「カラスが死んでいる」という内容の通報があった。署員が調べたところ、半径約350メートルの範囲で計20羽が死んでいた。いずれも外傷はなかった。

 死骸は路上やビルの屋上に点在し、数羽集まって死んでいるケースもあった。ハトの死骸も見つかった。

 現場はJR関内駅近くで、飲食店やオフィス、マンションなどが立ち並ぶ一角。一帯には規制線が張られ、会社員らが見守る中、署員らが死骸をポリ袋に入れて回収。近くの道路は一時渋滞する騒ぎとなり、近所の女性は「何があったのか」と驚いた様子だった。

2013年5月1日 提供:共同通信社



鳥インフルに強まる警戒 香港、新型肺炎の教訓薄れ 〈エッセー「街角アジア」〉

2003年にアジアを襲った新型肺炎(SARS)の流行から今年で10年目。299人が犠牲になった香港では、流行を境に公衆衛生の意識が大きく変わったといわれる。それまでは珍しかった手のアルコール消毒やマスクの着用が一般的になった。公衆トイレはきれいに掃除され、大声でつばを飛ばしながら話す人も減ったように思う。

公共の場所でたんを吐いたり、ごみをポイ捨てしたりすることへの罰金も1500香港ドル(約1万9千円)と従来の2・5倍に引き上げられた。

だが、SARSの流行当時は徹底していた手洗いやうがいの習慣は薄れつつあるようだ。若い世代ではトイレの後に手を洗わない人が少なくないと聞く。世論調査機関の香港大学民意研究計画が2月上旬に実施した市民の意識調査によると、65%が「流行当時に比べて衛生意識が薄らいでいる」と回答している。

折しも今、中国で鳥インフルエンザ(H7N9型)がまん延し、香港も警戒を強めている。しかし、感染地域がじわじわと広がる現状を前に、感染症の専門家は「香港でも感染者が出るのは時間の問題」とみる。

そもそもSARSの大流行は、香港を訪れた中国人医師がホテルでほかの宿泊者に感染させたのが始まりだ。世界有数の過密都市で、昨年は世界から4800万人以上、うち中国からは約3500万人もの旅行者が訪れた。水際で防ぐには限界がある。

今の香港にできることは、SARSの教訓をいま一度呼び覚まし、生かすことだろう。政府も早速、住宅街などに職員や議員らを派遣し、「街の清潔を保とう」と呼びかける活動を始めている。(NNA香港=安部田和宏)

2013年5月1日 提供:共同通信社



市場で感染の可能性 鳥インフルで国際機関


【上海共同】国際獣疫事務局(OIE)と中国農業省は30日までに、鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の現地調査を合同で実施、ウイルスが鳥の飼育場ではなく食材市場で人に感染した可能性が高いとする結果を発表した。

同型ウイルスの感染者は30日も福建省で1人増え、全体で死者24人を含む計128人となった。中国本土の2市8省と台湾で感染者が判明している。

調査チームは獣医学などの専門家で構成し、4月25日から上海市などを訪問して食用の生きた鳥を扱う市場などを調査。現時点で飼育場やそこで働く人などからはウイルスが検出されておらず「人に感染する危険性は主に市場にある」と強調した。

ただ、感染ルートは解明されていないため、飼育場も含めた監視を強めるべきだと提言している。

米医学誌に掲載された中国疾病予防コントロールセンターの論文も、市場と感染者とのつながりを指摘。調査した77人の感染者のうち77%が、市場で働いたり訪れたりして、ニワトリやアヒルなどの動物に触れていた。

政府系研究機関の中国工程院の研究者も、浙江省で判明した感染者について、市場で売られていた生きた鳥から感染したことを、遺伝子分析で確認している。

中国には、生きた鳥を売る市場が多数ある。上海市などの地方政府は、感染の広がりを阻止するため、既に市場を閉鎖している。

2013年5月1日 提供:共同通信社



鳥インフル、家禽からヒトへ感染


文献:Chen Y et al.Human infections with the emerging avian influenza A H7N9 virus from wet market poultry: clinical analysis and characterisation of viral genome.The Lancet, Early Online Publication, 25 April 2013.
中国で、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染者4人を対象に、臨床的解析とウイルスのゲノム解析を実施。全員が発症3-8日前に家禽との接触があった。抗菌薬不応の肺炎や肝/腎機能障害などが見られ、2人が死亡した。患者からの分離株は疫学的関連のある市場の鶏からの分離株と非常に類似し、家禽からヒトへの異種間伝播が示唆された。

原文(Lancet)を読む

2013年5月1日 提供:Lancet