Information「桐のエコロジーリフォーム」壁・天井
 

通常の木が30年から80年で成木(直径30cm)になるのに対し、桐の木は15年から25年で成木になります。成長が早いのは、土中からいろいろな養分を吸い上げ、幹の構築には大量のCO2(二酸化炭素)が必要になりますので、葉っぱの大きさも最初の3年間は直径が70cmにもなります。この桐の木から桐の板を作るときに、日本人は「アク抜き」と「天日干し」という処理を行います。難しい作業ではありませんが、根気のいる作業が続きます。

 アク抜きと天日干しは、桐の板を何年も雨と太陽にさらして、時折表と裏をひっくり返し、雨と太陽に当たる面を変え、木の中の不純物を洗い流す素朴な作業の繰り返しです。そうすると、桐の中の糖分や養分が溶出して少なくなり、カビや菌が付着してもそこには栄養も餌も無いので、桐の木の中や表面には虫や菌、カビが生育できなくなります。

 法隆寺を始め、多くの寺社仏閣の宝物、巻物は今でも桐の箱に収められており、文化庁や寺社からの桐箱の発注は、このアク抜きを十分に行うために納品の8年も前から注文が始まります。話は少しそれましたが、この「アク抜き」により、不純物が抜け去った桐の木の内部は空洞が多くなり、湿気を吸収したり排出したりという調湿作用が備わります。

 桐の箱の中では食物の水分が排出され、桐の木はこの水分を一旦吸収、そして、桐箱内部の水分が不足して乾燥すると、蓄えていた水分は桐箱の中の食品に戻ります。その時遠赤外線効果を伴う保水作用で箱の中の食用ホウズキは美味しさを増したという訳なんです。桐の木はこの「アク抜き」という工程なしでは健康を増進させる効果はほとんど得られないのです。

 私たちはこれだけ食用ホウズキの生命を延命させた桐の木を、人の住む住宅の内装材や生活サポート製品に利用しようと取り組みを始めました。イキイキした桐を育てるために私たちはまず、NPO法人「桐、ささやかな植樹祭」を設立しました。農薬や化学肥料、殺虫剤を一切使わない桐の木の植林からスタートしたのです。私たちの育てる桐には化学物質がほとんど含まれていません。

 成木になった伐採後は、アク抜きによってその濃度は極限まで減少していきます。更に厚みのある桐から輻射される遠赤外線はダニの嫌う波長ですから、桐を床にした部屋ではダニが発生しないのです。秋にダニの死骸も確認されていないのです。この特長を一番活かした世界に誇れる日本の伝統工芸が『桐箪笥』です。日本の伝統は、いよいよ免疫力の低いアトピーや化学物質過敏症の方でも安心して暮らせる住いに新たな可能性を提供できるようになったのです。

 桐は調湿作用により、梅雨に窓を開けっ放しにしてもカラッとしています。床にすると程よいクッション性があり、足腰に負担がかかりません。転んでも骨折しずらく、しかも遠赤外線効果の影響で足や腰が疲れにくいのです。
金庫の内張りにも使われているように桐は火災に強く、鉄が400℃で変形を始めるのに対して、桐に火が回るのは450℃と最も燃えにくいのです。

 桐は火をつけるとサッと表面は燃えますが、炭素(炭)の膜が表面を覆い、火が木の中に入りにくい特長がありますので、体の不自由な方には特に安心を与えてくれます。金庫の内張りに桐が使われているのも、通常の木は230℃から380℃で発火するのに対して桐は450℃が発火点なので、木でありながら耐火性能は1000年の実証があるのです。

 合板や高級な硬い木の床はキズが付きにくいですが、キズが付いたらなかなか修復は難しいのです。桐はまな板にも使われているように柔らかくて弾力性がありますので、意外にキズが付きにくいのです。そして、キズが付いてもアイロンやサンドペーパーをかけるとすぐにキズを修復することができます。住宅に多少のキズが付いても、心と体にキズが付かない住宅は大切な免疫力を損なわない原点だと思います。

 桐は軽い。つまり木の中に空気層が多いのです。それは優秀な断熱材の大切な条件なんです。桐の床、壁、天井を施工した住宅では、ほとんど夏冬のクーラーや床暖房が要らなくなります。電気を大幅に節約できる地球の免疫力にもやさしい素材なのです。

 桐は2年で高さ3mにまで成長し、40枚ほど直径70cmの葉っぱを夏の間、繁茂させます。あなたの家にも夏の暑さを和らげるグリーンカーテンとして、南側の窓の前に桐の木を一本植えてください。桐の植林に参加して、桐でしか得られない健康な住まいや製品に出会ってみてはいかがでしょうか。

 無農薬・無化学肥料で育てた桐の植林としっかりしたアク抜き、天日干し工程の両輪を確立した桐の産業は今熱い期待を寄せられています。

NPO法人 桐、ささやかな植樹祭 理事長 八木隆太

2013年3月2日 提供:NPO法人 桐、ささやかな植樹祭 理事長 八木隆太