難病の犯人はニキビ菌 8割の患者から発見
 

 目や心臓などさまざまな臓器や皮膚に小さな腫れができて失明や不整脈にいたることもある厚生労働省指定難病のサルコイドーシスの原因は、ニキビを引き起こすアクネ菌だとする研究結果を、東京医科歯科大などのチームが18日付の米国・カナダの医学専門誌に発表した。

 サルコイドーシスの原因は結核菌との説もあり、はっきり分かっていなかった。従来、副作用の強いステロイド剤などで症状を抑えるしかなく、チームの江石義信(えいし・よしのぶ)教授(人体病理学)は「ニキビ治療に使う抗菌剤で大きな効果を得られるかもしれない」と話している。

 チームはサルコイドーシス患者にできた小さな腫れ(肉芽腫)から液体を抽出してマウスに投与。マウスの体内でつくられた抗体の種類から成分を特定する手法などで、肉芽腫にアクネ菌が存在することを突き止めた。日本とドイツの計146人でリンパ節や肺にある患部を調べると、8割前後の患者でアクネ菌が見つかった。

 アクネ菌はどんな人の皮膚にもいる細菌。ストレスの増加や生活習慣の変化などをきっかけにアレルギー体質の人の細胞で増殖し、サルコイドーシスの症状を生じさせているとみられる。

 国内では2008年時点で約2万人の患者がいるとされ、多くは自然に治るが、約3割が慢性化したり再発を繰り返したりする。

※医学専門誌はモダン・パソロジー電子版

2012年5月21日 提供:共同通信社