Lesson54

喫煙者には早めの結腸癌スクリーニングが有効 




新たに発表されたエビデンスによると、大量の喫煙を重ねてきた人は5潤オ10年早く結直腸癌のスクリーニングを始めたほうがよい。
Roxanne Nelson

3540名の患者を検査した結果、現在喫煙している人は喫煙経験のない人より約7歳早く結腸癌と診断されることが判明した。特に早い時期の受動喫煙と、若年の結腸癌発症の関係も初めて明らかにされた。

この論文は2月9日、『Journal of Cancer Research and Clinical Oncology』のオンライン創刊号で発表された。

「医師と患者へのメッセージははっきりしている。結腸癌スクリーニングについて決定をするときは、家族歴や年齢だけでなく喫煙歴も考慮に入れたほうがいい」と主席著者であるロチェスター大学(ニューヨーク州ロチェスター)James P. Wilmot癌センターの放射線腫瘍学准教授Luke J. Peppone, PhDは言う。

Peppone博士らは1957年から1997年の間にロズウェルパーク癌研究所(RPCI、ニューヨーク州バッファロー)で結直腸癌と診断された患者のデータを調べた。(Peppone博士は2007年にRPCIからロチェスター大学に移った。博士の共著者らはRPCIの研究者たち。)

40年の間に喫煙習慣は変化し、現喫煙者や能動喫煙者の割合は減って元喫煙者の割合が増えた。それでもなお現喫煙者の結腸癌診断年齢は6.8歳早く、5年以内に煙草をやめた元喫煙者でも4.3歳早いことが分かった。5年以上前に煙草をやめた人では、有意なリスク増加を認めなかった。

しかし、10代前半(17歳になる前)から喫煙を始めた人や、喫煙本数が多かった(1日1箱以上)人は、喫煙歴がない人よりかなり若いうちに癌と診断される傾向にあった。受動喫煙歴はもう1つの有意な危険因子でであった。実際に、能動喫煙と受動喫煙を1つのサブグループにまとめると診断年齢は10年近く早まった、とPeppone博士は言う。

喫煙は様々な癌の危険因子としてよく知られているが、煙草が結腸癌の原因になると指摘されるようになったのはつい最近である。

喫煙と結腸癌の関連性を説明する生物学的理由は不明である。しかし、喫煙が全身の免疫機能を低下させ、感染症やウイルスを撃退する体力を奪うように、悪性新生物に対する抵抗力が喫煙によって落ちるのではないかと考えられている。煙草の煙を飲むと、煙の発癌物質は直接循環から腸に達するか、消化管から腸に達する。

結直腸癌は男性と女性で3番目に多い癌である。新規症例の約10%は遺伝によるものであるが、75%以上は散発的な変異、環境要因、そして喫煙、貧しい食生活、飲酒、運動不足、肥満などの生活習慣要素が原因であるという。

米国立癌研究所が同研究に補助金を提供した。

(2008年2月22日 記事提供 Medscape)