Lesson368

禁煙治療薬に心リスクなし 【米国心臓協会】



医師と相談し、自分に合った禁煙治療補助薬を

 米国心臓協会(AHA)は12月9日、禁煙治療には重大な心臓リスクはないという調査結果を紹介した。同学会発行のCirculationに掲載。

 禁煙製品の一部に重大な心血管リスクがあるのではないかという懸念があったが、最大規模の副作用分析(63件の臨床試験、参加人数3万508人)では、ニコチンガムやニコチンパッチ、ニコチン中毒治療薬バレニクリン(商品名シャンティックス)による重大な心臓イベントの増加は認められなかった。また、抗うつ薬ブプロピオン(同ウェルブトリン)により重大な心イベントを抑制できることも分かった。

 ニコチンパッチなどにより頻脈や不整脈などの軽微な心臓症状が出ることはあるが、一時的なものである。ただし、禁煙治療薬を使用しながらの喫煙によりこのような症状が起こりやすくなるので注意が必要。いずれにしても、禁煙治療薬の使用よりも喫煙による心臓リスクの方が明らかに重大である。

 今回の副作用分析の対象者のほとんどが健康な人であったため、この結果が全員に当てはまるわけではない。「持病のある人にとっては禁煙治療薬が危険因子となり得るため、喫煙歴によって考えられる危険因子について医師とよく相談すること。また、慢性肺疾患やそれに関連する心血管リスクのある患者について、医師はリスクプロファイルによりどのような禁煙補助薬を使用するか判断しなければならない」と研究者は述べている。

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2013年12月19日 提供:米国学会短信